春との旅
 
★★★★☆ 2010年 日本 2時間14分
監督 小林政広
出演 仲代達矢
徳永えり
大滝秀治、菅井きん、田中裕子、淡島千景
柄本明、美保純、香川照之、戸田菜穂
北海道4月。寒さの中、元漁師の忠男(仲代達矢)は、18歳の孫・春(徳永えり)と共に気の乗らない東北への旅に出ることになる。二人が訪れたのは、忠男の兄・重男(大滝秀治)の家だった。決して折り合いのよくなかった兄に、忠男は突然、自分を養ってくれと切り出す。足を痛めている忠男は、ひとり娘が死んでからは春に面倒を見てもらいながら暮らしてきた。だが、春が仕事を失い、これを機に東京に出ることを考えていると知り、忠男は最後の住まいを求めて重男に会いに来たのだった。しかし、忠男は重男に同居を断られてしまう。と同時に、重男と妻の恵子(菅井きん)が抱える事情を忠男は知ることになる。そして忠男は、次に弟・道男(柄本明)のもとを訪ねようとする。忠男の面倒を兄弟に見てもらうことを提案したのは春であった。だが、過去から逃れることができず、避けてきた感情や事実と向き合わざるを得なくなった祖父の姿を見て、春は自分の言葉を後悔していた。そんな祖父の葛藤やもがきを一緒に体験しながら春は、やがてある感情が芽生え出してくるのだった…。

007 慰めの報酬
Quantum of Solace
★★★☆☆ 2009年 アメリカ 1時間46分
監督 マーク・フォースター(チョコレート/ネバーランド)
出演 ダニエル・クレイグ(トゥームレイダー/ミュンヘン)
オルガ・キュリレンコ
マチュー・アマルリック(ミュンヘン)
ジュディ・デンチ(恋におちたシェイクスピア)
愛する人を失ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。

それでも恋するバルセロナ
Vicky Cristina Barcelona
★★★☆☆ 2009年 アメリカ 1時間36分
監督 ウディ・アレン(ギター弾きの恋/マッチポイント)
出演 ハビエル・バルデム(ノーカントリー)
スカーレット・ヨハンソン(ロスト・イン・トランスレーション)
ペネロペ・クルス(すべての美しい馬/バニラ・スカイ)
レベッカ・ホール
バカンスでバルセロナを訪れたヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は、親友同士だが恋愛観は正反対。二人はヴィッキーの親戚夫婦の家に滞在して、バルセロナの街を観光する。ガウディの建築物や、ミロの芸術に酔いしれていた。ある晩、訪れた画廊のパーティーで出会ったのは、画家のフアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)。彼は元妻マリア(ペネロペ・クルス)と離婚したばかりだった。そんな彼に、クリスティーナは興味を持つ。
年一作のペースで新作を発表するウディ・アレン監督が、スペインのバルセロナを舞台に、三角関係の恋愛を描くロマンチック・コメディ。二人のアメリカ人女性、そしてスペイン人の画家と彼の元妻が、それぞれの個性や恋愛観をぶつけあいながら駆け引きを繰り広げる。『マッチポイント』に続き、ウディ・アレン作品でヒロインを演じるスカーレット・ヨハンソンのほか、『ノーカントリー』でオスカー受賞のハビエル・バルデムとペネロペ・クルスが出演。ペネロペはこの作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞。

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
Revolutionary Road
★★★☆☆ 2008年 アメリカ 1時間59分
監督 サム・メンデス(ジャーヘッド/アメリカン・ビューティー)
出演 レオナルド・ディカプリオ
(ギャング・オブ・ニューヨーク/ギルバート・グレイプ)
ケイト・ウィンスレット
(ネバーランド/タイタニック/いつか晴れた日に)
1950年代のアメリカ、コネチカット州。フランクとエイプリルのウィーラー夫妻は、閑静な住宅街に暮らし、子供にも恵まれた理想のカップル。しかし、甘い新婚時代の暮らしも次第に色あせていく。演劇志向のエイプリルは地元の劇団の舞台に立つが、芝居の出来が悪く夫婦で口論に。一方フランクは、しがないセールスマンの仕事にやるせない不満を感じていた。そんな時エイプリルが提案する。「みんなで、パリで暮らしましょう」と…。

スラムドッグ$ミリオネア
Slumdog Millionaire
★★★★☆ 2009年 イギリス 2時間
監督 ダニー・ボイル(普通じゃない/ザ・ビーチ)
出演 デーヴ・パテール
マドゥル・ミッタル
フリーダ・ピントー
アニル・カプール
インドのスラム出身の少年ジャマール(デヴ・パテル)は人気番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、後1問で2000万ルピーを手にできるところまできた。しかし、これを面白く思わない番組のホストは警察に連絡。
彼はズルをして正答を得ていたとされ、詐欺容疑で逮捕されてしまう。ジャマールは警察署で厳しい尋問に対し、正答を知ることになった自分の過去を話し始める。そこに1人の少女を追い続けた彼の人生の物語があったのだ…。
発祥地イギリスはもちろん、日本など世界中でローカライズされ人気となっている「クイズ$ミリオネア」。
インド人外交官のヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社)をダニー・ボイルが映画化。映画版は原作と大幅に変わっている。主人公は孤児でイギリス人神父に育てられた。彼が半生を語る相手は警察ではなく、彼を警察から救出した女弁護士である。孤児であるラム・ムハンマド・トーマスに兄はいないため、映画版にある兄サリムが関わるギャングにまつわる部分は全て映画オリジナル。原作に登場するサリムはラム・ムハンマド・トーマスの親友のイスラム教徒で、宗教的迫害を受けるのはサリムである。また、主人公が恋に落ちる少女の名前はニータで、彼女は主人公が大人になってから娼館で出会った娼婦である。また、ラム・ムハンマド・トーマスが英語を流暢に話せるようになった経緯、列車強盗の話、往年の女優の家で働いた話などはカットされている。

チェンジリング
Changeling
★★★★☆ 2008年 アメリカ 2時間22分
監督 クリント・イーストウッド
出演 アンジェリーナ・ジョリー
ジョン・マルコヴィッチ(マルコヴィッチの穴/クリムト)
ジェフリー・ドノヴァン
コルム・フィオール
ジェイソン・バトラー・ハーナー
1928年、シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。
『硫黄島からの手紙』などでストーリーテリングには定評のあるクリント・イーストウッド監督による感動作。息子が行方不明になり、その5か月後に見知らぬ少年を警察に押し付けられた母親の真実の物語を静かなタッチでつづる。実生活でも母親であるアンジェリーナ・ジョリーが、エレガントだが強さを内に秘めた母親を熱演。堕落したロサンゼルス警察が保身のために行った数々が、実際にあったという事実にがく然とする。