お熊甲祭り
  「イヤサカサー」と20mもある枠旗をさしあげる威勢のよい掛け声。独特なリズムの鉦・太鼓。狩衣風の装束で、わらじを履き鳥甲をかぶった天狗面の猿田彦が、袖を翻して乱舞します。渦巻く熱気に観衆も呑み込まれ興奮します。華麗にして異国情緒に満ちたお祭りで、収獲を喜び、豊作を神に感謝するものです。
毎年9月20日の久麻加夫都阿良加志比古神社の例大祭は、お熊甲祭り(おくまかぶとまつり)あるいは二十日祭り(はつかまつり)と語り継がれています。

 祭事は、9月6日の「しらい」(渡御順のくじ引きなどが行われる)からはじまり、9月19日の末社による御魂迎え行事{奉幣迎え」の神事があって、当日を迎えます。9月20日午前7時頃に瀬嵐人磨社の神輿、枠旗が舟で熊木川を遡って参集する頃に加茂原から本社付近道路にかけて、枠旗を起こし、旧の西岸村、中島村、豊川村、熊木村の19の末社の行列が参集してきます。行列は、金幣、社名旗、猿田彦、鉦、太鼓、蛇頭などのお道具、御幣、神輿、枠旗と続き、それぞれの末社の行列は、到着順に境内に参入し、神輿、枠旗を担ぐ若衆は勢いよく拝殿にかけこみ、喚声をあげてさしあげを繰り返します。午前10時30分頃から、19末社の猿田彦が乱舞し、花笠・手甲・脚絆・たすきがけの若者が、手足を踊らせて、30数個の鉦太鼓を打ち鳴らし、宮司・献幣使を先導します。これが「奉幣式」です。この後、拝殿において祭典が行われ、約700mばかり離れたお旅所の加茂原への渡御に移ります。加茂原でのお練り行事で、祭りもクライマックスに達し、空の青、山の緑、金色に輝く20台の神輿、20数本の真紅の枠旗が夕陽に映え、その様まさに一大絵巻の美観を呈します。

 この「熊甲祭りの枠旗行事」は、昭和56年に国の重要無形民族文化財の指定を受けました。

瀬嵐人麿社前で

枠旗を舟に積込む

いざ熊木川へ

熊木川を上がる

祭りに向かう若衆

代本の若衆
枠旗と神輿
瀬嵐の恵比寿様

要貝の枠旗
恵比寿様を担ぐ県知事

境内で島田崩し


袖を翻す猿田彦

奉幣式

イヤサカサー
祭りに酔う観衆

枠旗を担ぐ若衆

熊野の島田崩し

瀬嵐の島田崩し

熊野の島田崩し