あんちゃんからの手紙〜作る公共工事から壊す公共工事へ(テトラポット弊害とダムに溜まった砂)〜

茅ヶ崎では過去10年間で、茅ヶ崎漁港と海水浴場の間にある防波堤脇のテトラポットで8人、茅ヶ崎第一中学校前のヘッドランド(通称:T-Bar)のテトラポットで13人の尊い命が奪われてきました。

海の建造物は今まで季節ごとに来る波や潮の流れを本来の自然の姿から歪め、危険な状況を作り出してきました。その流れにはまり、テトラポットによじ登ろうとして滑り落ちたり、そのまま引きずりこまれて奥へ奥へと持って行かれてこれらの方々が亡くなっています。何人かの方は何日もテトラの中で揉まれ続け削られ最後は消滅するという悲惨な思いをしている筈です。多分他の地域のビーチでも同じようなことは起きているはずです。

このような危険で本来の海岸の美観を損なうテトラポットを無くし、防波堤は危険度が少なく美観を余りそこなうことの無い自然石等の利用により構築されるべきです。

また、これらの人口構造物は砂の移動を制限、本来の目的と正反対の海岸侵食を引き起こしているのも事実で、新たな侵食を防ぐ為にテトラポットやコンクリートが更に投入されるという悪循環が生まれています。

本来ならば、波によって浸食される量を河川から供給される土砂が補い海岸後退は発生していなかったのですが、川をせき止め生態系を痛めつけ周辺自然環境を破壊しているダムが土砂の流れを止め海岸侵食も引き起こしています。また堆砂したダムはその機能を失い、新たなダム開発が更に自然を破壊しています。

何らかの方法でダムに溜まった土砂を海に流す工夫が必要です。川に土砂が流れ川が生き返れば、河口付近のバクテリアやプランクトンの活動が活発になり、魚介類に栄養が行き渡り漁業にも育浜にも役立ちます。

近年、我々は何万年何十万年も昔からあった事を狂わし破壊してきました。

これから、我々に求められているのは勇気をもって過去の過ちを認め、元の自然の形に戻す「壊す公共工事」を持続可能な環境開発の中で考慮していくことだと思います。高波などの防災に対して細心の注意を払い、砂の供給等自然本来の姿を出来る限る歪めない方法での新たな護岸・河川開発を望みます。

2002年4月28日

あんちゃん

サーフショップハードアンドメロー



目次:

1.   サーファーから見た海岸の問題点

2.   日本の海岸行政

3.   長期的アクションプラン

4.   短期的アクションプラン

5.   政治力としてのサーファー

添付資料

1.   湘南サーフシンポ2001(別紙)

2.   日本の海洋政策の推進体制( http://www.mlit.go.jp/kisha/boshu/engan-iki.htm )

3.   沿岸域総合管理研究会に関する資料(同上サイト)

4.   「海岸侵食対策と利水ダムの機能の維持・回復のための土砂管理対策検討委員会」の設置について(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/05/050325_.html

5.   「第一回 海岸侵食対策と利水ダムの機能の維持・回復のための土砂管理対策検討委員会」 議事概要について(http://www.mlit.go.jp/river/press/200201_06/020329c/020329_1.html

6.   海岸侵食とその対策(http://www.mlit.go.jp/river/kaigandukuri/sugata_index.html

7.   高潮に備える設備(http://www.mlit.go.jp/river/kaigandukuri/sugata_index.html

8.   ダム湖のリフレッシュ作戦(http://www.mlit.go.jp/river/dam/ref-r.html

参考Webサイト

1.            サーフライダーファンデーション http://www.surfrider.gr.jp/

2.            国土交通省沿岸域総合管理研究会 http://www.mlit.go.jp/kisha/boshu/engan-iki.htm

3.            国土交通省河川局 http://www.mlit.go.jp/river/index.html

4.            日本財団 http://www.nippon-foundation.or.jp/ships/topics_dtl/2001475/20014751.html


1.サーファーから見た海岸の問題点

1.   むやみな港整備や護岸工事による波の消失と事故
「サーフポイントがなくなるということは、家族や恋人を失うのと同じ事。心の支えがなくなる、楽しい思い出や感動の一瞬が永久に葬り去られることなんだ」とサーフライダーファンデーション(SFJ)のコピーがありました。徳島大学とSFJ調査によると21箇所の有名サーフスポットの波が消えたか台無しにされ、その何十倍もの無名スポットが消えているそうでござんす。

2.   海岸侵食
年間160haが侵食される。えーとこのまま侵食されていくと15年後には日本沈没だって。うそ。新島(2,400ha)くらいの面積がなくなるらしいです。

3.   水質汚染
鵠沼のダイオキシンとかね。


その他ビーチパークの整備に関してはサーフポイント一箇所に1個トイレが必要だね。無かったら海の中でやっちゃうからね。それと水道の蛇口が一つ在るといいね。

 

2.日本の海岸行政
詳細は添付「日本の海洋政策の推進体制」参照。 ここで問題になるダム、護岸対策は国土交通省河川局が担当(多分ね)。また、昨年国土交通省内部に大学関係者等有識者からなる今後の望ましい「沿岸域総合管理研究会」が設置されて、現在国民の海岸に関するニーズを把握調査中。添付資料参照の事。


3.長期的アクションプラン
これは僕が勝手に手が滑り書いたもの。

むやみな港整備や護岸工事による波の消失と事故

大目標 小目標 仮説と根拠 関係者(中立・味方) 関係者(潜在・顕在利害対立者) 確認検証事項
根拠及び国民経済的に効果の薄い護岸工事・漁業用海岸工事等に関して制限を設けたり撤去する法律の制定・既存法(海岸法、自然保護法)の改正。またオーストラリアにおける持続可能な環境開発監視を目的としたCoastal Council のような機関の設置

-各仮説の検証

-関係者(味方・中立)のネットワーク化

-利害対立者への説得及び味方化(構造物撤去=公共工事)

-海岸工事時、サーファーの声を取り入れた事前環境アセスメント強化及びその評価手法確立

仮説:

「波」・「自然海岸」は保全すべき自然及び環境資源である。

「波」・「自然海岸」は自然環境でありむやみに人工的に手を加えられるべきではない。1993年の調査によれば日本に残されている自然海岸の割合は50%。残りの50%は人工的な海岸である。

根拠:

-「波」・「自然海岸」による海の浄化効果

-自然保護先進国(米国、豪州等)における人口構造物に対する慎重な対応。→オーストラリアにおけるテトラポットより自然石の利用等

-人口構造物による災害(テトラポットによる水難事故→例:既に死亡者を22名出している茅ヶ崎の防波堤)

-人口構造物による海岸美観破壊

-サーフィンの為の波の確保
環境省、地方自治体、自然保護団体、大学など研究機関、マスコミ、市民、サーファー 国土建設省(河川局),、農林水産省、建設会社、市民

-波の浄化効果

-消波による生態系、水産資源に対する影響。

-人口構造物による効果(プラス及びマイナス)

-先進各国における海岸自然保護に関する調査

-波保護における被益人口/被害人口


海岸侵食

大目標 小目標 仮説と根拠 関係者(中立・味方) 関係者(潜在・顕在利害対立者) 確認検証事項
砂浜侵食問題の根本的解決

-ダム堆砂の放出方法確率

-海岸人口構造物の環境への影響の再調査及び勇気ある撤去を施す法律作り

-海岸工事・砂利採取時のサーファーの声を取り入れた事前環境アセスメント強化及びその評価手法確立

砂浜侵食は以下が原因である。

-ダムの影響による河川からの土砂供給減少

-海岸人口構造物による砂の移動の変化

-河口及び海浜における砂利採取

環境省、地方自治体、自然保護団体、大学など研究機関、マスコミ、市民、サーファー

国土建設省、建設会社
国土建設省、農林水産省、建設会社

3つの仮説の検証とその対策方法

水質汚染

大目標 小目標 仮説と根拠 関係者(中立・味方) 関係者(潜在・顕在利害対立者) 確認検証事項

水質汚染予防

-排出基準の厳正化
-Watch dog機関の設立
-処罰の厳正化

-海岸ダイオキシンのサーファー/水産資源への影響。

-荏原製作所ダイオキシン事件の被害地である鵠沼引地川河口は日本でも有数のサーフスポット。NPO調査によると引地川河口の貝には高いダイオキシン濃度が検出。→現在東京農工大学高田研究室・環境総合研究所・サーフライダーファンデーションによる全国海岸のムラサキ貝によるダイオキシン汚染調査が進行中

環境省、地方自治体、自然保護団体、大学など研究機関、マスコミ、市民、サーファー

排出企業、地方自治体(汚染に関し揉み消す意図をもった場合)

汚染度及び汚染源


4.短期的アクションプラン

先ずは、行政とサーファーがもっと話し合えるようになる事ですね。例えば、「沿岸域総合管理研究会」においてサーフライダーファンデーションや他のサーファーの声が反映されるようにとか。

5.政治力としてのサーファー

マリンレジャー人口(レジャー白書からだけど、webじゃよく見えなかったから要確認)は下表のとおり。
政治力としてサーファーを見たときに思いつく問題点は1.「組織されてない」、2.「政治への関心が薄い」この2点。
全国的な組織に関してはNippon Surfing Association, Japan Pro Surfing Association, そして環境NPOSurfrider Foundationが在る。
上記組織の他には、各サーフショップとサーフィン雑誌やWeb site等のメディアがサーファーの意見を代表する機能を持つ。


サーフィン・ウインドサーフィン

110万人

海水浴

2,300万人

釣り

1,810万人

ダイビング

210万人

ヨット等

60万人


ちゃお

by たなかくん

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