それは言ってはいけない一言で、
言ったら全てが終わってしまうから。

「だから。」

その先の言葉を言うことは出来なかった。

口に出せば、ボクは彼を失う。
キッドも、黒羽快斗も。

だから言えなかった。
彼を警察に捕まえられたくないだなんて。
ボクに捕まえることが出来ないなら、いっそあの子供に渡したほうがましだなんて。

これは唯のエゴ。
彼を失いたくないという探偵あるまじき思い。

こんな気持ち、彼に知られるわけにはいかなかった。
彼は怪盗で、ボクは探偵で。その一線だけは越えてはいけないものだから。

だから。

ポンと踏み越えて飛び越えて。
願わくば。

彼が少年の物になってしまえばいいのに。





こんなこと言えるはずがない。