トッと降り立った地に、いつかと同じように彼はいた。
「『なにしてんだ、ボウズ。』」
「『花火だよ。』」
変声機を通した声は、江戸川コナンのもので、KIDは少し笑った。
たった一年前のことなのに、全てが酷く懐かしい。
「よお。」
振り返った彼、工藤新一はKIDに向かって手を上げた。
KIDはそれを受け、マントをバサリと鳴らし礼をした。
「今晩は。そして初めまして、名探偵。」
「ああ、初めまして怪盗KID。いや、黒羽快斗。」
突風が視界を遮り。
目を開けた時には白の代わりに黒の学ランを着た高校生が目の前に立っていた。
「うん、初めまして、工藤新一。」
新一は手を伸ばし、快斗はその手を取った。
引き寄せ、抱き締める。
「やっと手に入れた。」
肩に顔を埋める新一に、快斗は苦笑する。
それでも振りほどけないほど離別の刻は長くて。
「漸く…捕まえてくれたね。」
掻き抱く腕の強さに涙か溢れそうで。
そう。
約束は果たされた。