かすみそう


「おとーさまっ」
グンマが元気な笑顔でマジックの控え室に入ってきた。
「もう外にテレビ局の人たちが来ていたよー」
「まだ挙式も始まっていないというのに、気が早い人たちだねえ」
「それだけ二人が注目を集めてるんだよ!」
にこにこと二人は笑いあう。
「ごめんねグンちゃん。みんなに私たちの所為で嫌な思いをさせてしまうかもしれない」
「平気だよお父さま! それより僕もごめんね」
「なにがだい?」
「お父さまの期待に添えそうになくてかなあ」
悲壮感などかけらもなく。
マジックは微苦笑した。
「そういえば、高松が来たそうだが、行かなくていいのかい?」
「うん。僕、いま恋の駆け引き中だから!」
グッとこぶしを握り締めるグンマにマジックは本気じゃないため息。
「ジャンに言うと怒られるんだけど、パパ、孫の顔が見たいなあ」
「あはは。ごめんねお父さま!」
哀しみのない顔にマジックはふぅと息を吐いて、そして口を開いた。
「……本当はね、そんなことどうでもいいんだ。パパはシンちゃんとグンちゃんとキンちゃんと……コタローちゃんと、みんなが笑顔でいてくれるなら、それでいいんだ」
「おとーさま……」
優しくにっこりと笑いあって。
「僕もね、お父さまとジャンさんの幸せを願ってるよ。だからみんなで幸せになろう。僕とお父さまとジャンさんとシンちゃんとキンちゃんとコタローちゃんとサービス叔父様とハーレム叔父さんと、そしていつか高松も。みんなで!」
「ああ。……そうだね」
壁に掛かった時計が挙式時間の15分前を示した。
「そろそろ僕、行くねお父さま!」
「ああ。また後でね、グンちゃん」
もうすぐ式が始まる。



−−−−−
5月21日の花言葉は「無邪気」
グンちゃんが好きです。