ラナンキュラス


シンちゃんを捜すレーダーを作るために、高松がガンマ団に帰ってきた!
ついでに楽しそうなサービス叔父様から連絡がきた。
お見合いの件をばらしたって楽しそうに言われました。
あんまり高松のこと苛めないで欲しいな。
というのと同時に、帰ってきてからどうも態度がおかしいのはもしかしてそのせいかなあと思って、ちょっとドキドキ。
ただいま12月25日直前。
僕は高松の研究室の呼び鈴を押した。


「……グンマ様」
扉を開けた高松は白衣を羽織った研究者スタイル。
眼鏡をかけているのは本を読んでいたからかな。
なんだか見ない間に痩せたような気がしてぎゅうと抱きついてみた。
……うん。ちょっと痩せたかもしれない。
「グ、グンマ様っ!?」
あ、動揺している。
「どうしたんですかこんな夜遅くに」
僕の身体を離して高松は訊ねた。
困ったような顔に、僕は当初の目的を思い出す。
腕時計で時刻を確認。
3…2…1……
「メリークリスマス高松っ!」
僕は25日になったのと同時に、高松の目の前にグリーンの包装紙でラッピングされた小さな薄い箱を差し出した。
「ありがとうございます……」
高松は驚いたように目を丸くして僕の差し出した箱を受け取った。
箱の中身はシルバーのタイピン。
いつも身に着けていて欲しいから実用性の高いものを選んでみました。
「……申し訳ありませんグンマ様。実はまだプレゼントのご用意が……」
「気にしないでよ高松。僕があげたくてあげてるんだから。
 それに、高松が帰ってきてくれたのが僕にとって何よりのプレゼントだよ」
ちょっとだけ背伸びをして高松のほっぺにチュッとキスする。
その後、高松の顔を見るのが少し怖くて(だってもしも万が一、嫌悪されてたらどうしよう)
それから、僕の赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくって。
逃げるように廊下を逆戻り。
角を曲がって、部屋の前に立ったままの高松の様子を窺った。
うん。嫌がられはしなかったみたい。
よかった、と僕は胸を撫で下ろして自室に戻るために歩き出した。








「……なんなんですか……」
ペタリ。
高松はグンマの気配がこの階から遠のいたのを確認すると廊下にへたり込んだ。
グンマに触れられた左頬を押さえ、赤くなっているであろう顔に眉をひそめた。
それからようようのことで部屋に入り込み鍵をかける。
そこでやっと息を吐いた。
ずるずると扉に背を付け座り込む。
煌々と灯る室内の明かり。
高松は握り締めてしまっていた箱に、メッセージカードがついていることに気が付いた。
クリスマスカラーの、もみの木やおもちゃの兵隊の描かれた、それを開くと、見慣れたグンマの筆跡で短い文が書かれていた。

『 親愛なる高松へ
 メリークリスマス!
 楽しいクリスマスの一日を過ごしてね。

 追記:サービス叔父様から聞きました。
    お見合の件。僕、全部ちゃんと断っています。
    隠していてごめんなさい。それからありがとう。

 グンマ 』


文面を目で追っていた高松は、思わず安堵した自分に顔をしかめた。
「……今日中にプレゼントを買ってきませんとねぇ」
グンマへの物とキンタローへの物と。
今の感情を誤魔化すように呟き、高松は、カードを大切そうにポケットに仕舞った。



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5月25日の花言葉は「あなたは魅力に富んでいる」
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