オリーブ |
コタローちゃんとシンちゃんがガンマ団に戻ってから、穏やかな日々が過ぎた。 シンちゃんがキンちゃんと遠征に行っている間、僕とコタローちゃんはお留守番。 ジャンさんは相変わらずどこにいるのかわからない時のほうが多かったりする。 ジャンさんは尾行も護衛も撒いて幻みたいにふっと消える。 繋がらないケータイに、持たせている意味がねえとシンちゃんがぼやいている姿も珍しくない。 そんな時でもお父様はばっちりジャンさんの居場所を把握していて、さすがだなぁって思う。 発信機でも付けてるのかな。 高松とは……進展アリなのかなあ。 告白した。 意識してくれてるとは思う。 でも……。 三歩進んで二歩下がる。 どこかの歌みたいだ。 「という訳なんだけど、何かいいアイディアないかなぁ」 『なにがだよ』 電話の向こうから苦笑したような声がする。 ケータイは奇跡が起きて繋がった。 素直にそう言ったら、失礼なこと言うなよと拗ねられた。 「僕はもう少しどうにかしたいなと思ってるんだよ」 『意識されてるんだろ? 良いことじゃないか』 「されすぎなの! 僕がちょっと近づくだけで逃げるんだよ。これで顔が赤くなかったら避けられてるのかと思うところだよ!」 『あはは』 「笑い事じゃないよジャンさん。僕どうすればいいと思う?」 『どうって。……実は冗談でしたとか言えば元に戻るかも知れないけど、それじゃあ意味ないんだろう? 待つしかないんじゃないのか?』 そんなの解っているからこそのグチ。 僕はちょっとため息を吐いた。 「昔はよかったなぁ。なにも考えずに高松に抱きつけたんだもん」 『ハハハ』 冗談口調の僕の言葉にジャンさんは笑って『近いうちに帰るよ』と電話を切った。 そう。昔はよかった。 僕がお父様の子供だって分かる前。 僕が自分の気持ちに気付く前。 何のためらいもなく“家族”だって言えた頃。 いまの僕と高松の関係はちょっとあやふや。 家族だと言うわけにもいかず、でも想いはそれ以上だ。 恋人に……僕はなりたい。 高松も僕のことを好きな……はず。 高松が自分の気持ちを自覚するまでいまは我慢の時。 高松だってもう後戻りできないくらい僕のこと好きなはずだから。 それは分かっているんだ。 でもちょっと挫けそうだよぉ。 こんな状態で耐えられるシンちゃんは凄いと思う。 僕は早く高松が覚悟を決めてくれないと、実力行使に出てしまいそうだ。 だから高松。 早く覚悟を決めてください。 僕はずっとずっとずーーーっと高松のことを待っているんだから。ね? −−−−− 5月26日の花言葉は「平和」 27日から新パプ後の未来パラレル。 ちょっと続き物になる予定です。 |