オダマキ


「言いません!!」
「どうしてだい。」
「ど、どうしてって……。」
 にっこりと、机に肘を突き顎を手に乗せ、微笑むマジックに、ジャンは言葉を詰まらせた。
「そんなに難しい事じゃないだろう?たった5文字じゃないか。」
「それは……そうなんですけど!」
「強情だね、君も。」
「いけませんか。」
「いいや、可愛いよ。」
「なっ!!」
 再度言葉に詰まり、顔を紅く染めたジャンを、にこにこと楽しそうに、マジックは見つめた。
「……物好き。」
「恥ずかしがり屋。」
「…親馬鹿。」
「ファザコン。」
「な、オレがファザコンだっていうんですかマジック様!!」
「違うのかい?」
「違います!マジック様のシンタローバカと一緒にしないでくださいっ!!」
「なら、証拠を見せてくれないかい?ファザコンじゃないって証拠を。」
 ジャンは鯉のように口を開閉させた。
「ジャン?」
 問い掛けるマジックに、ジャンは怒鳴るように叫んだ。
「ああそうですよっ!!好きですよっ!大好きですよっ!!愛してますよっっ!!貴方をっ……愛してます。」
 マジックは立ち上がり、顔を真っ赤にして俯くジャンの身体を抱き寄せた。
 さらさらと髪を撫で、耳元に口を寄せる。
 ジャンは顔を見られまいと、マジックの胸に顔を押しつけた。
「私も……君を愛しているよ、ジャン。」
 低く囁かれた声に、呆気なくジャンの腰は砕けた。


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5月14日の誕生花は「おだまき」
花言葉は「勝利の誓い」
一人祭り第一弾。