オリーブ


 陽の光の差し込む部屋のベッドの上。
 盛り上がる二つの影。
 モゾモゾとシーツが動き、ぬっと腕が伸びた。
「……いま…何時だ……?」
 シーツから顔を出したジャンは、サイドテーブルから置時計を掴んだ。
「うわぁ…………。」
「うーん……。ジャンさん……いまなんじ……?」
 同じ様にシーツから顔を出したグンマが眠そうに尋ねた。
「12時半……。」
「うわぁ……。」
 いくら今日が日曜日だといっても、流石に眠りすぎだろう。
「腹へったぁ……。」
「そうだねー。なにか用意させる?」
「んーー。」
 ジャンはまだ半覚醒状態。
 グンマもまだベッドから出る気はない。
 お腹は減っていたが、動く気になれなかった。
 このままだと、午後もベッドの上かもしれない。
 まあ、それもいいか。とグンマは枕に頬を寄せた。
 陽射しは優しく、時は穏やかに流れる。
 一度開いたはずのジャンの瞼は、また静かに閉じられていた。
(僕ももう一眠りしよう)
 ゆっくりとグンマの瞼が落ちていく。
「お前ら起きろっっ!!!」
「うわあああっっ!!」
 開け放たれた寝室の扉と、シンタローの怒声に、ジャンが飛び起きた。
 慌てた様にきょろきょろと辺りを見回す。
「どうしたの?シンちゃん。」
 身体の向きを変え、グンマが尋ねれば仁王立ちをしたシンタローが睨んできた。
「どうしたのじゃねえよ。午後は家族全員で買い物行くから予定空けとけって言っといただろ。」
「あ!いっけない、忘れてたよ。」
「あのなぁ。」
 シンタローはがっくりと肩を落とし、ベッドへ沈み直すジャンを睨みつけた。
「そこ。寝なおそうとしてんじゃねえ。」
「えーー、だってオレカンケーないじゃん。」
「お前も行くんだよっ。」
「なんで。オレ青の一族じゃねえぞ。」
「んなこと関係ねえよ。メシ仕度してやるから、その間に仕度しろ。」
 バンと扉を閉め出ていくシンタロー。ジャンは枕を抱えごろごろと転がった。
「なんだよ。何でオレまで行かなきゃなんないんだよー。」
 拗ねた口調の恋人に、グンマは笑った。
「なんだよグンマ。」
「シンちゃんはね、ジャンさんのことも家族だって思ってくれてるんだよ!」
「はあ?」
「だって、ジャンさんは僕の恋人でしょ?」
「うん。」
「僕たち一緒に暮らしてるでしょ?」
「うん。」
「ほら!だから僕とシンちゃんとジャンさんとみんなは家族なんだよ!」
 笑顔で言い切る恋人に、ジャンは目を瞬かせた。
「……へーー。そっか……。」
「うん!そうだよ!」
「なんか、そういうのもいいな。」
「うん!」
 はにかみ笑うジャンに、グンマはにっこり力強く頷いた。



‐‐‐‐‐
5月26日の誕生花「オリーブ」
花言葉は「平和」
にゃんにゃんカップル。