一緒にお茶を 甘い甘い匂いが漂うシンタローの総帥室。 午後3時。 ここは暫し、コタローと彼の兄達の憩いの場所となる。 「はい!今日はコタローちゃんと一緒に作ったんだよ☆」 グンマが笑顔で差し出したのは籠に入った焼きたてのスコーン。 キレイなきつね色に焼けたそれはほんのり甘い匂いを漂わせていた。 「コタローが!?」とブラコンの兄は締まりのない顔をし、あまり表情の変わらない従兄弟も口許を綻ばせ、紅茶をサーブした。 クロテッドクリームと手作りイチゴジャムをスコーンに塗って口へひとかけ。 「美味しい?お兄ちゃん。」 ドキドキと感想を待つコタローの不安は、シンタローの一言であっさり吹き飛んだ。 「すごく美味いよコタロー!いますぐお店が開けるぞ!!」 多分に贔屓が入っているであろう彼の言葉を訂正する者はいない。 キンタローも頷き2個目に手を伸ばす。 「ね!僕の言った通りでしょ?」 「うんっ!」 嬉しそうにコタローは笑うし、兄達も笑う。 いつもの風景がそこにはあった。 「明日はクッキー作ろうか?」 「うん!一緒に作ろうグンマお兄ちゃん!」 楽しそうに相談を交す次兄と末弟に明日は時間に余裕があると従兄弟も参加権をもぎ取る。 そんな彼らにシンタローは目を細くした。 明日も明後日も、きっと同じような顔をするだろう。 これが彼らの日常。 そして…。 「グスン…パパだけ除け者なんて酷いよシンちゃん…。」 明日も明後日も、マジックが涙を流し壁とお友達になることも、きっと変わらない日常なのである。 |