To be, or not to be 原文は、“To be, or not to be: that is the question:” 初めて戯曲として読んだ「ハムレット」が本多顕彰氏の訳だったので「長らうべきか、死すべきか、それは疑問だ」でインプットされてしまっているのですが、この部分、翻訳者によって実に様々な訳がされてきました。 角川文庫の「新訳ハムレット」の訳者あとがきにはなんと40例もの訳が掲載されています。 有名どころでは、逍遥さんの「存ふか、存へぬか、それが疑問ぢゃ」とか「世に在る、世に在らぬ、それが疑問ぢゃ」とか、福田さんの「生か、死か、それが疑問だ」とか、あと小田島さんの訳とか。 ところが、翻訳家のプライドにかけて避けてきた、のかどうかは知りませんが、敢えて「生きるべきか、死ぬべきか」という最も有名なフレーズを使ったのは2003年の河合祥一郎氏が初めてだそうです。 舞台で演じられることを念頭において、だったらみんなが知っている台詞がいいんじゃね?という感じで決めたっぽいですが、確かに正解だったかもしれません。 なにしろ、よっぽどのハムレットおたくか演劇おたでなければ、膨大な台詞のどこにその台詞がでてくるかなんて知ったことではないわけですし、ぼーっと見てたら、どこがそのシーンだったのかわからないまま終わってしまいます。 まあ、でも、「ハムレット」には他にも見せ場はあるので、それは問題ではありません、たぶん。 |
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と、このように様々な訳され方をした“To be, or not to be〜”ですが、名台詞だけあって、お隣のおろしや国でもいろんな訳がされていますので、やはりそのうち有名な方の訳を。 まずは「ドクトル・ジバゴ」の作者であるパステルナークさんで“Быть или не быть, вот в чем вопрос. ” お次は「ロリータ」の作者のナボコフさんの訳、“Быть иль не быть - вот в этом Вопрос;” 微妙に違いますが、ロシアの訳では最初の部分を“Быть иль не быть”と訳しているのが多いです。 “быть”は英語の“be”にあたる存在を表す動詞の不定形ですが、“Жизнь или не жить ”とか“Жить иль смерть”みたいにストレートに「生」とか「死」という言葉を使う人もいるようです。 いろいろ苦労されているのは日本も露国も同じようです。 |