〜just before the imminence・・・


「なぁ三蔵・・・あともうちょっとでこの世が終わるっつったら、お前最後に何する?」

ようやくたどり着いた宿の一室。
本日はツインが二部屋取れ、既にそれぞれ部屋に入り、もうすぐ日付が変わろうとしている時刻になっていた。
悟浄は珍しく、三蔵が読み終えたであろう机に放置してあった新聞を、なんとなく文字をじっくり見るわけでもなくペラペラとめくっていた。
そしてふと、気になった記事の一つをじっくり眼で追い始める。

『〜我々が今浴びている太陽の光は、8分19秒前に太陽から発せられた光なのである。
ここに仮定として今、太陽が爆発していたとしよう。太陽が爆発したら我々の住む世界は一瞬にして消滅するであろう。
しかしそれは太陽が爆発してから8分19秒後の出来事になる。〜』

(ふーん・・・じゃあそん時は俺ら約8分の命な訳ね?)
非現実的な事なのだが、なぜか一瞬悟浄の心に不安のような落ち着かない感情が過った。
(べっつに今更死ぬのが怖ぇ〜訳じゃねぇケ・ド・さ・・・)
フッと自嘲な笑みを口元に浮かべ、死に対する戸惑いを抱かせた原因であろう人物を見遣った。
悟浄の視線の先には、この遅い時刻にも関わらず珍しく眠らずベッドの上で紫煙を漂わせている三蔵が居た。
悟浄の視線に気付いた三蔵は、「なんだ・・・」と心底嫌そうな表情を浮かべ悟浄を睨んできた。
(死んじまったら三蔵サマに逢えなくなるじゃん?)
悟浄は不安定な思考を三蔵に読まれないよう、いつもの表情で笑ってみせる。
そして・・・
「なぁ三蔵・・・あともうちょっとでこの世が終わるっつったら、お前最後に何する?」
脈絡もない悟浄の問いに眉を顰め少しの間を置くと、さしても興味無さ気に悟浄から視線を外し灰皿に煙草を押し付けながら答えた。
「下らねぇ事聞いてくんじゃねぇ・・・」
溜息吐き「俺は寝る・・・」と言い布団に潜り込んでしまう三蔵。
「え・・・い〜じゃん教えてくれたってよ・・・ったく、ケチハゲ坊主・・・」
ぼそっと悟浄の呟きが洩れ、三蔵が自分に言われた悪口に一瞬ピク、と反応する。
盛大な溜息の後、寝る体勢のまま少々苛ついた口調で、今度は三蔵が悟浄に問い掛けた。
「そういう貴様はどうするんだ・・・無様に慌てふためいてそのまま死んでそうだがな・・・」
ご丁寧に最後にクッと笑いを付け足して、先程の悪口のお返しをしてみる。
「あら、失礼しちゃうわねぇ〜?俺は・・・・・・」

(俺?・・・俺は何をしてる?・・・何がしたいんだ・・・・・・?)

当然今までそんな死の直前の自分を考えた事も無い悟浄は、一瞬言葉を詰まらせてしまった。

(どうせ人なんて、何を考える事もなくあっけなく死んじまうんだろ?
俺の母親なんかそうだ。俺への憎しみを抱いた絶好調の時に死んでいった。
もっと幸せな中で死にたかっただろうし、せめて死なせてもやりたかった・・・
その俺が死ぬその瞬間、何をしていたい?何を思っていたい?何が出来るんだ・・・?)

見出し2のエリアです!!
「・・・悟浄」
ハッと顔を上げ、声のした方を見た・・・三蔵がベッドから半身起き上がりこちらを見ていた。
「あ・・・えっと・・・なんだっけ・・・?(苦笑)」
慌てて表情を作ったが、既に遅かったらしい。
三蔵が訝しげな面持ちでこちらを見つめている。何もかもを見抜くような深紫の瞳で・・・。
「っ・・・さ、さぁ〜て俺も寝よっかな♪」
三蔵が見つめてくる中、変な汗を掻きながらベッドに潜り込もうと腰掛けた時、ふと身近に人影を感じ見上げた。
見上げた先には、不機嫌さを隠そうともせず見下ろしてくる瞳があった。
「何を考えている」
「いや、べっつにぃ〜?(焦)」
威圧してくる視線に、眼も合わせられない悟浄。
「さっき下らねぇ事聞いてきたな・・・もうすぐ死ぬって時に何するかだと?」
「お、お答え頂けるんデスカ?(汗)」
変な緊張の中なんとか三蔵に笑みを向けた悟浄。
すると突然、ベッドに腰掛けていた悟浄を三蔵が押し倒し、その躰に覆い被さった。
「っ!・・・え・・・なに???なんなの?」
急な出来事に眼をパチクリさせている悟浄の耳元で、三蔵が妖艶な笑みを称え囁いてきた。
「そん時ぁ・・・無様に慌てふためいている間抜け面のてめぇを押し倒してやるよ・・・」
「なっ・・・!?」
思わぬ三蔵の答えでかぁっと赤くなってしまった悟浄を尻目に、ふん・・・と躰を起き上がらせる三蔵。
一瞬怯んでいた悟浄だったが、三蔵の言葉に、自分の情けなさを目一杯感じると、すぐにいつものペースに気持ちが戻っていく。

「やぁっぱ適わねぇなぁ〜三蔵サマにはv」
「ふん・・・貴様が情けないだけだろう?」
「おっしゃる通りで・・・♪」
ふっと笑うと三蔵の腕を掴み強引に引き寄せ、今度は悟浄が三蔵をベッドに押し倒した。
「貴様・・・ふざけた事し・・・」
「俺、別に三蔵様にヤられんのはいいけど・・・ヤるからには最後までしてくんなきゃ嫌よ?8分で俺をイカせられんの?」
いつものペースを取り戻した悟浄は、三蔵の言葉を遮ると笑って三蔵を見下した。
「ちっ・・・調子に乗るな・・・そこをどけ!」
「イ・ヤvイカせてくんなきゃ化けて出ちゃうよん?」
「化けて出られるもんなら出てきやがれ。速攻成仏させてやる。」
「あれ・・・でもそん時ぁ三蔵も逝っちまってるか・・・(苦笑)」
「・・・もういいからそこをどけ。」
溜息吐き悟浄を押し返そうとした時、悟浄に強く抱き締められた。
「オイ!(怒)」
撃ち殺そうかと本気で三蔵が思った瞬間、悟浄から小さい呟きが聞こえてきた。
「・・・さんきゅ」
「ったく・・・バカが・・・」
盛大な溜息を再び吐くと、三蔵の片腕が悟浄の背に回される。

急に照れてきた悟浄は誤魔化すように話し出す。
「じゃあよ、俺様がちゃんと8分でイケるように、今から俺のテク伝授してやるよ♪」
と、それはそれは心底楽しそうに。
「遠慮する・・・って貴様っ・・・調子に乗るな!」
気付くと三蔵の首筋に悟浄が顔を埋めていた。
「じゃあまずわ、ココをこ〜してだなぁ〜・・・♪」
ペロリと悟浄の舌が三蔵の首筋に這い出す。
「っ・・・や、メロッ・・・」
「んでこうやってぇ・・・」
「・・・い、加減に・・・っ」
悟浄の行為が進むにつれ、三蔵の抵抗が大きくなる。
一端顔を上げ三蔵を見遣る悟浄。
「(溜息)・・・・・・。あのねぇ〜そんなに嫌がってたら8分どころか、何時間経ってもイケないぜぇ〜?」
「ふざけんな!今は必要ねぇだろうが!」
キッと睨み付けてくるが、わずかに顔が高潮しているのがわかる。
「予行練習を日頃やっとかないと、いざ本番って時に何したらいいかわかんなくなるもんだぜ?」
「っ・・・なにが予行練習だ!練習なんかでヤられてたまるか!」
『予行練習』という言葉に苛立ちが増した三蔵に、悟浄は笑みを浮かべた。
「悪かったって・・・俺はいつでもエッチは本番よ?練習っつったのはただの言い訳。これならOK?」
頬に軽く口付けを落としてやる。
「ふん・・・・・・俺に練習なんざ必要ねぇ・・・」
「あら・・・すっごい自信♪なんか太陽が爆発すんの楽しみになってきちまった(笑)」
「・・・・・・本当のバカだな貴様は・・・(溜息)」
「バカですよぉ〜・・・なんか俺もう今死んでもいいかも・・・」
「なら死ね。今死ね。すぐに死ね。」
「死ぬのは三蔵ン中入ってから考えるわ♪」
クスッと笑うと再び三蔵の首筋に顔を埋め、行為を開始した。
今度は三蔵の抵抗を感じないままに・・・。


     『貴方は8分間、何をしていたいと思いますか?誰と・・・居たいですか?』


「貴様が受け側なら、いつでも予行練習ヤってやる。」
「逆なら練習でもいいってのかよ・・・(涙)」


<Fin>


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見出し3のエリアです!!
<あとがき>
・・・判っちゃってる方居るかなぁ・・・言われる前に言っておきます・・・
某ドラマの一シーンのパクリでございます!!!(爆)
テレビで見た瞬間「53でやりてぇ・・・」と思ってしまったわけでございます!!!
普段受けの奴が攻め相手に「押し倒してやるよ」なんて言ったら萌えかなと・・・と言うか私が萌えてしまって(苦笑)
そしてこれ、一晩書きしちゃいまして、弥紗的にはびっくりでございます・・・普段は何日も掛かってるくせに・・・
まだ文章が粗いですが、修行不足という事でご了承下さいませ。

まぁ、なんだかんだ言って三蔵様、悟浄を押し倒すには当然傍に居なきゃイケナイって事で・・・
三蔵様は、終わりの瞬間悟浄と一緒に居たいって事を言いたかったのではないかと思われマス・・・(汗)
(勝手な妄想により後日三蔵様から銃の洗礼を浴びる事になる管理人であった)