〜Love expression・・・


「お兄ちゃん、怒られちゃうよ?」
「ん?」
服の裾を引っ張られ、そう声がする方に視線を向けると、小さな女の子が不思議そうな顔で悟浄を見上げていた。
「なんだぁ〜?」
悟浄より先に歩を進め、今夜の宿探しをしていた3人が、悟浄の上げた声に気付き振り返る。
「駄目だよ怒られちゃうよぉ〜」
なにやら必死に悟浄に訴えている様子。

「おや悟浄。宿も決まってないのにもうナンパですか?」
くすくすと笑う八戒の傍らで「ロリエロ河童ぁ〜♪」と悟空が茶化していた。
「ちげぇ〜よ逆ナンだよ…俺が声掛けられてんだっての…」
「(悟浄を置いて)行くぞ…」
くるりと背を向け再び歩き出す三蔵さま…。
「え。」
「そうですね、早く宿探さないといけませんし。」
「おい…」
「じゃ〜なぁ〜エロ河童〜♪」
「てめっこの猿っ!」
悟浄の制止の声に構わず去ってしまう3人。
追い掛けようにも、悟浄の裾を掴んだままの少女を振り払う事も出来ず…。

「ねぇ怒られちゃうってばぁ〜」
諦めたように軽く溜息を吐くと、少女に視線を合わせてやるようにしゃがみこんだ。
「おじょうちゃ〜ん俺なんか悪ィ事したかな?君が10年後の姿だったら悪い事すっかもしんねぇけど?」
少女の頭上に手を乗せ軽く撫でてやる。
「真っ赤な髪と真っ赤な目をしてる子はどっちか色変えなきゃイケナイんだよ?お母さん以外の人と遊ぶ時はそのまんまじゃ遊べないんだよ?変えないとお母さんに怒られちゃうんだよ?」
「…へぇ〜じゃあ俺どっちか色変えなきゃお母さんに怒られちゃうねぇ〜?」
「だから私もね、ん〜と…ホントは内緒なんだけどお兄ちゃん私と同じ色してるから教えてあげるね♪実はね…私の目も髪も赤いから色変えてるんだよぉ〜♪」
「あららそうなの〜今目だけは茶色だよね、どうやって変えたんだい?」

聞くと少女は自慢気に説明をしてくれた。どうやら瞳に何か入れているようだった。
(あぁアレね・・・。)
−カラーコンタクトレンズ−
最近おしゃれとして流行っていると聞いた事があった。
聞いた事があるというだけで興味は湧かなかった。ましてや瞳の色を゛隠す゛という使用方法など考えにも及ばなかった。
(禁忌の子とバレないように母親が…あったま良い〜♪)
「だからお兄ちゃんもお母さんにバレない内にぃ〜!じゃないと怒られちゃうし遊べなくなっちゃうよぉ〜」
「あぁ考えとくよ♪教えてくれてありがとな♪」

ぽむぽむと頭を撫でると立ち上がり、少女に笑顔で手を振り三蔵らが向かった方へと歩き出した。
(禁忌でも愛されてる奴は居るんだな…)
少し複雑な思いのまま三蔵達を追い掛けた。

-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

宿の入口で飛んでいたジープが目印となり、無事今夜泊まる部屋へとたどり着いた。
「たっだいまぁ〜♪」
今夜は三蔵と相部屋だった。
「…ナンパは失敗したようだな」
部屋に入ると新聞を見ていた三蔵に一瞥され一応反論してみる。
「だから違ぇって…声掛けられたのは俺だっての…」
「ほぉ〜良かったじゃねぇか」
新聞を下ろし悟浄を見遣った。
「あと10年後なら良かったけどねぇ〜…」
「守備範囲広いてめぇがなに言ってやがる」
「俺はむちむちのセクシーなオネーちゃんじゃなきゃ勃たないのっ!」
「…一回死んでこい」
「あ。三ちゃんはどんなオネーちゃんよりもセクシ〜〜〜だから勃つヨン♪」
「永久に死ね。(ガウンッ!)」
「ぐはぁっ!?」
ベッドへぼすっと倒れ込むと微動だにしない悟浄。
それに動じず再び新聞を見だす三蔵。

「………。」
「(ちっ)…いつまでふざけているつもりだ」
「………。」
「オイいい加減に…っ」
胸ぐら掴んでやろうと悟浄に近づいた瞬間、出した腕を悟浄に捕まれバランス崩した三蔵は、いつの間にか仰向けになっていた悟浄の腕の中に抱き留められる形となる。
「っ!?てめぇ放しやがれっ」
「ヤだね。」
三蔵に逃げられないよう、ぎゅぅっと抱き締める。
ふざけるなとばかりに抵抗していたが次第に諦め悟浄の腕の中で落ち着く三蔵。
おとなしくなったのが判ると抱く腕の力を抜きおもむろに口を開いた。
「…なぁ…俺の事愛してる?」
「馬鹿バカしい、くだらねぇ事聞いてんじゃねぇ…」
「なぁ言ってよ…俺の事愛してんならさぁ…」
「答える気にもならんな」
「なぁってばぁ…愛してる?」
「…っ………あぁ…」
「ちゃんと言ってよ…」
体勢を逆転させ三蔵を組み敷き見つめる。
「言葉でなきゃてめぇには伝わらねぇのか。」
「うん♪…う、嘘です…でも聞きたいv」
「………」
「なぁってばぁ♪」
「………この状態で撃ち殺されないだけマシと思え…。」
「ア・イ・シ・テ・ルvだろぉ?」
「…撃ち殺されたいらしいな…(怒)」
「……言って減るモンじゃねンだからいいじゃん〜!」
三蔵の上からどくとふいっと背を向けイジける真似をする。
「(溜息)ったく…てめぇ以外にこんな事しねぇぞ…」
背を向けた悟浄に背後から半身乗り掛かるようにすると、軽く触れるだけのキスを頬にし離れた。

…微動だにしない悟浄。
「チッ……ぁ、ぃ…して……る…」
「っくくく…俺もv」
笑いを堪え切れず肩震わせ三蔵を再び抱き締めた。
「気色悪ぃ上に暑苦しいんだよてめぇ、離れやがれ(怒)」
「イ・ヤvなぁなぁモ一回言って ♪」
「死ね。(チャキ)」
「ち〜が〜う〜!愛してるvだろう?」
「二度とその面見せるな。」
「やだぁ〜三蔵さまったら照れちゃってぇ〜♪」
ガウンッ!ガウンッ!☆
至近距離からの発砲で銃弾が頬をかすめる。
「Σっ!…しゅみましぇん…(しゅん)」
「ったくウゼぇんだよ。しつけぇと愛してやらねぇぞ」
「ΣΣΣ・・・・・・やだぁ〜~\(TT~TT)」
「……うぜぇ…もう二度とは言わないからな…」
「うんv」
「…ぁぃ…してる…」
「も一回v」
「永遠に消えうせろ貴様ぁっ!」
「きゃ〜v」

(今は俺を愛してくれるやつが居るから生きていけんだ)


(完)

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ものすっごい中途半端な終わり方ですみません・・・。
いろいろ考えたんですが思い付かず・・・(爆)

今回は、コンタクトレンズネタ。
コスの為カラコンをゲットするかどうか悩んでいた時に浮かんだ、かなり前から書いてたネタです。
最遊記世界にコンタクトがあるかなんてツッコミは無しって事で・・・(汗)
三蔵に「愛してる」を何度も言わせようとする悟浄と、それに文句言い照れ隠しのように怒りつつも言ってあげる三蔵様と、悟浄を逆ナンしている(?)お譲ちゃんが書きたかった。(笑/待て)
・・・ってあれ?今回三蔵からの軽いキスしかしてない・・・(珍)