愛鷹山(あしたかやま)

(1,504m、静岡県)  130座

R469から見た愛鷹山、右が最高峰の越前岳。

越前岳登山口〜越前岳(愛鷹山の最高峰)往復

 2005年3月20日(日)

〔車、日帰り〕
自宅535−(R413)−道の駅652−710山中湖−(R138)−御殿場−(R469)−805十里木(じゅうりき)高原駐車場825−835展望台−902笹峰− 935休憩943−1017越前岳1100−1202駐車場着

 今年初めての山行である。冬眠明けなので手軽に行ける愛鷹山へ出かけることにした。
 朝5時35分に家を出発。近くのコンビニで弁当を買い、道志周りで山中湖を目指して行く。このコースなら多少時間はかかってもタダで行ける。

 昨日は快晴だったが、今日は白い雲が覆っていた。天気予報では「晴れのち曇り」と報じていたが、青空が見えて来る気配はない。私が出かけるとなぜか天気が崩れる傾向にある。やはり普段の行いが悪いのか?

 快晴といえば、山男達は「ピーカン」という。なぜピーカンと言うのか分からなかったが、缶入りピースから来ているらしい。ピー缶のラベルが濃紺色だったので、紺碧の空を見て「ピー缶のような空だ」と言ったらしい。

 途中、道の駅で一服。
 山中湖へ近づくと、野山の残雪が多くなって来た。

 山中湖からは御殿場を目指して行く。どんよりとした空。富士山は見えない。しかし、富士高原ゴルフコースの入口まで来た時、右手に真っ白な富士山が見えた。思わず歓声を上げ、急いで車を止めて写真を撮った。ここから見る富士山は余りにもでかく、不気味なくらいだった。

 サハリーパークをめざしR469へ入って行くと、正面に2つのピークが見えて来た。それは紛れもなくこれから目指す愛鷹連山の最高峰、越前岳である(TOPの写真)。

 右手に富士山、正面に愛鷹山を見ると、ここしばらく冬眠中で忘れていた登高心が湧いて来た。急いで路肩に車を止め、野焼きで黒くなった草原に入って写真を撮った。富士山は手前に2つのピークが見えた。宝永火口がちょうど正面になるため、前山のように見えた(写真右)。

 ここからは「忠ちゃん牧場」を目指して行く。昨夜、家内に「ここへ行って来るから」と愛鷹山の地図のコピーを渡すと、
「あら、忠ちゃん牧場って面白い名前ねぇ・・・、経営者が忠ちゃんて言うのかしら?」
 と言うので、私が、
「多分そうだろう、忠男さんか、忠邦さんか、それとも忠治さんかも知れないね」
 と言って笑った。

 その「忠ちゃん牧場」の入口を右手に見送って、さらに進んで行く。少々不安になった頃、左手に十里木(じゅうりき)高原駐車場があった。これが越前岳の登山口で、すでに15、16台の車が止まっていた。トイレもあった。
(写真右は駐車場から見た富士山)

 車から降りると、寒くてガタガタ震える。ここへ来る途中にあった電光掲示板には気温0度と表示されていた。震えながら登山靴を履いて、急いで歩き始める。じっとしているのが耐えられない。今日はセーターを忘れて来たのが痛い。

 8時25分発。まずは鉄塔をめざし、摸木で造った土留めの階段を登って行く。階段の土は凍ってバリバリだった。下山する時はグチャグチャになってしまうだろう。

 5、6分ほど登っただけで息が切れた。冬眠明けの鈍った身体には応える。しかし、10分程で展望台へ着いた(写真右)。そこから見る富士山は最高だった。この愛鷹山のウリは富士山の展望だというから、やはり富士山を見なければ始まらない。

 ここからはフツーの登山道になり、展望台から2、3分のところに鉄塔があった。この辺は樹木が少なく展望がいい。正面には馬ノ背らしいボッテリした山が横たわっていた(写真左)。

 登山道は3、4センチもある霜柱だった。その霜柱を踏みながら登って行くと、広々とした所にベンチがあり、そこに「笹峰」と書いてあった。ここで立ち止まって振り返ると、いつの間にか富士山の山頂にうっすらと白い雲がかかっていた。

 ここからは落葉樹林帯の登りになり、残雪が現れて来た。雪面はカチンカチンに凍っていた。
 もう下って来る人もいた。

 9時35分、もう1時間も歩いたので水分補給のため休憩する。雪の無い斜面に座り込むと、正面に富士山が見えた。空はいぜん高曇りだが、富士山は山頂の雲もとれ、スッキリと聳えて立っていた。
 富士を見ながら一服していると、汗ばんだ身体が次第に冷えて来るのを感じる。メモをとろうとしたが手が震えて字が書けない。早々に出発することにした。9時43分発。

 歩き出して2分もすると、見晴らしのいい所へ出た。富士山の左手に真っ白になった南アルプスの山々が、ズラリと並んで見えた。富士山の左から北岳、間ノ岳、農鳥、そして、塩見、荒川と続き、さらに赤石、聖と繋がる。どの山も一級品だ。こんなに展望がいいなら、ここで休憩すれば良かったと思った。


(南アルプス展望)

 この辺から残雪が一層深くなり、斜面も急になって来た。そこを60代半ばのオバさんが一人でアイゼンも着けずに下って来た。
 挨拶を交わしたついでに、「アイゼンを持って来なかったんですか? この季節は6本歯でいいから持って来た方がいいですよ」と、エラそうなことを言ってしまった。

 10時10分、勢子辻の分岐着。ここまで来ればもう山頂は近い。下山してくる中年のご夫婦に会った。奥さんが「山頂は寒いですよ!」と声をかけて下って行った。

 雪道を登って行くと、突然、雪のない広々とした台地へ飛び出した。そこが越前岳の山頂だった(写真右)。10時17分着。
 しかし、そこには誰もいなかった。駐車場には車がいっぱいあったのに、何処へ行ってしまったのだろう。

 山頂は冷たい風が吹き抜けていた。しかし、展望は抜群だった。雄大な富士山と、その左手に真っ白になった南アルプスの山々が並び立っていた。早速それらを写真に収めたが、寒くてとても腰を下ろして休もうという気にはなれなかった。

 ここから南に続いている位牌岳を眺めながら躊躇した。出来れば位牌岳まで行ってみよう、と思っていたからだ。
 しかし、ここからは思ったより遠い。それに細かいアップダウンが多く、雪もたっぷり着いている。6本歯のアイゼンでは無理だ! などと勝手なヘリクツを並べ立てて、ここで昼食にすることにした。

【山頂からの展望】

(位牌岳)

(呼子岳、大岳)

(富士山)

 山頂から愛鷹山荘方面へ10メートルほど行った南斜面に座り込んだ。

 ここから樹木の間から位牌岳へ続く稜線が見えた。岩尾根で、かなりアルペン的だった。雪が無い時にぜひ歩いて見たいと思った。

 寒くてガタガタ震えて来た。「そうだ!雨具を着ればいい!」と、急いで雨具を着込む。

 軽アイゼンを着けて再び山頂へ戻ると、いつの間にか10人位がいた。その中の一人に写真を撮ってもらった。
 11時ジャストに下山。

 アイゼンを着けているので下りは楽だった。ベンチがある笹峰まで来ると、食事をしているパーティーがいた。

 最後に、愛鷹山からの富士山をじっくりご覧下さい。