伊豆ケ岳 (いずがたけ)

(851m、埼玉県)


男坂を登る


2013年3月3日(日)
正丸駅〜伊豆ケ岳〜子ノ権現〜西吾野駅

自宅610−(R16-R299)−736正丸駅前755〜819馬頭観音分岐〜828実谷のふたまた〜907大蔵山〜925五輪山〜955伊豆ケ岳1010〜1028古御岳1036〜1102高畑山1108〜1124中ノ沢頭〜1144天目指峠(昼食)1200〜1251子ノ権現1302〜西吾野駅=正丸駅

 伊豆ケ岳は奥武蔵を代表する名峰で、天気が良いと伊豆半島まで眺望できるという。その伊豆ケ岳へ「男坂を登ること」と、「伊豆ケ岳を写真に撮ること」を目的に出かけて行った。

 6時10分に家を出た。R16からR299へ入り、正丸駅へ7時36分着。
 お店の前の駐車場には1台の車もない。日曜日だというのに「信じられな〜い!」と驚く。とにかくお店の近くに車を止めた。お店はまだ閉まっているが、駐車料金は帰りに払おう。

 私が出かける準備をしている間に2台の車が近くに止めた。良く見れば奥の線路沿いに5、6台の車が止まっていた。(帰りにお店の方から、次に来た時は線路沿いに止めるように、と言われる)
 まずは改札前のヘンテコな階段を下る。斜めになった階段で身体まで斜めになってしまいそうだった。
 この階段を下り、標識に従って隧道を潜って林道を歩いて行く。

 この辺は雪があるのではないかと心配したが、日陰の所々に残骸があるだけで林道には全くなかった。
 25分ほど歩くと馬頭観音の分岐へ着いた。先客3人が左の登山道へ入って行ったので、私もつられるように付いて行った。これが大きな間違いだった。

 そもそも今回は、正丸峠から三角錐に見える伊豆ケ岳の写真が撮りたかったので直進すべきだったのだ。

 そんな間違いに全く気づかず、沢沿いの道を進んで行った。

 10分も行くと分岐があり、「ここは実谷のふたまた」という標識があった。
 そして、「名栗げんきプラザまで2.0Km」と書いてあるのを見て、初めて道を間違えたことに気が付いた。この道は正丸峠へは行かないが、もう馬頭観音まで戻る気はしない。そのまま右手の尾根を登って行った。

 急な階段を登って行くと、「ここはふたご岩」という標識が立っていた。ふたご岩?と疑問に思って周りを見渡すと、確かに大きな岩が2つあった。

 さらに登って行くと、正面にドガーンと大きな岩があった。「え!あれを登るのか?」と思ったが、基部に「かめ岩」との標識があり、その左側を巻いて行く(写真左)。

 そして、ここから針葉樹林帯から落葉樹になり、左後方にピークが見えた。伊豆ケ岳だろうか、それとも古御岳こみたけだろうか(写真右)。

「実谷のふたまた」からちょうど30分で支尾根へ出た。周りには残雪がわずかにあった。風が強くて冷たい。

 10分たらずで主尾根へ出た。私はてっきり長岩峠だと思ったが、そこには「大蔵山」との標識があった。私が持っている地図には大蔵山の名はない。

 ここでしばし思案にくれる。正丸峠から伊豆ケ岳の写真が撮りたかったので、今から正丸峠まで往復して来るか、それとも予定を変更して帰路に正丸峠へ寄るか、である。
 結局、帰りに正丸峠へ寄って行くことにして、そのまま伊豆ケ岳へ向かって行った。

 右手の樹木の間から前武川岳や武川岳が見えた。

 鞍部から直登の階段と巻き道があった。私は迷わず直登の階段を登って行く。2、30mも登った所で巻道と合流した。


 階段の途中に工事用のビニールシートが張ってあった。風除けにちょうどいい。そこで一本立てて行く。

 その階段を登り切った所が五輪山だった(写真右)。広々とした山頂にはベンチもあったが、今休んだばかりなので写真を1枚だけ撮って行く。
 そして、五輪山から30mも下ると、ついに男坂が現れた。先行者2人が登っているのが見えた。「ヨイシャー!」と気合が入る。
 今日は、もしこの岩に雪が着いていたり凍っていたらヤバイと思い10本歯のアイゼンを持って来たが、その必要はなさそうだ。

 ここには「落石危険」の表示があるが、ここからは自己責任である。先行者が登り終えるのを待って、いよいよ戦闘開始!

 岩は逆層になっているが、雪も氷もないので難しいということはない。岩場の途中で写真を撮る余裕もあった。


(鎖場1)

(鎖場2)

(鎖場3)

(下を見下ろす)

 最上部の大きな岩は登らずに左側を巻いて行く。

   
 そして、木の根がタコ足のようになったピークを越えると、大きな岩が立ちはだかった。クサリもロープもない。

 登れそうだが反対側がどうなっているか分からないので簡単に登る訳にはいかない。(下れなくなってしまうかもしれない)
 良く見れば左側にしっかりとした踏み跡があるではないか。
 しかし、その巻道もかなりヤバイ所があった。斜めになった岩が滑りそうで怖かった(写真手前の石)。そこを何とかクリアー。

(私の前を歩いていたオバさんはこの岩場を直登したが、反対側は特に問題なかったと言う。直登が正解だったかも)

 この厄介な岩場を過ぎると、もう山頂の標識が見えて来た。縦長に広い山頂には3人の先客がいた。山頂へ9時55分到着。
 山頂からは、前武川岳や武川岳、その奥に武甲山、さらには大持山、小持山らしき山が見えたが余り自信はない。



(伊豆ケ岳山頂)

(大持山・小持山方面をズ−ム)

(前武川岳、武川岳、奥に武甲山)

 ここで一本立てながら帰りのコースを検討する。当初の予定では正丸峠からこの伊豆ケ岳へ立ち、どうしても古御岳こみたけだけは登っておきたいので古御岳まで行って、伊豆ケ岳との鞍部まで引き返し西吾野あがの駅へ下るつもりでいたが、正丸峠を巻いてしまったことが大きな誤算だった。

 このまま正丸峠へ戻るには、まだ時間が早い。伊豆ケ岳の写真を撮るだけなら子ノねの権現あたりからでも撮れそうだ。

 山頂にいた3人も子ノ権現へ行くという。このまま帰るのはもったいない。「よし、子ノ権現へ行こう」と決めた。

 先に下った2人を追いかけるように出発。メチャクチャ急な坂を下って行く。
 鞍部にあるはずの上久通へ下る分岐は見当たらなかった。見落としたのだろうか。

 雪がわずかに残った階段を登って古御岳(写真左)へ着いた。山頂の東屋で別のオジさんが一人休んでいた。

 ここからの下りも急で気が抜けない。ザレの上に落ち葉があって滑りやすく、更に下って行くと岩が現れ、岩と木の根の間を下って行く。

 ここを過ぎると馬の背のような緩やかな道になり、林相も変わって常緑樹になった。常緑樹はどうもアセビのようだった(写真左)。アセビは「馬酔木」と書き、馬が食べると苦しむという猛毒で、草食動物は絶対に食べない。(もちろん人間も食べてはいけません!)

 すぐに高畑山へ着いた。若い男性2人が昼食を摂っていた。私もここで一服して行く。

 ここからも、わずかなアップダウンを繰り返して行くと、中ノ沢ノ頭へ着いた。標識には「中ノ沢頭」と書いてあった。さらに「伊豆ケ岳を経て正丸駅、子ノ権現を経て吾野駅、ほぼ中間点です」と、丁寧に書いてあった。

 そもそも、このピークには巻道があったはずだが、私は忠実に尾根を来てしまったようだ。
 いずれにしても、針葉樹で視界が利かない尾根歩きはつまらない。

 休んでいると寒い。食事も早々に出かける。

 天目指あまめざす峠の標識とベンチがある所へ11時44分着。

 林道へ出ると東屋があり、青年が1人で昼食を摂っていた。私もここで昼食にした。
 それにしても、食後の急登は応える。

 登り切った所から背後に伊豆ケ岳と古御岳が見えた。伊豆ケ岳はここから見るとボッテリしているが、古御岳はピラミダルに見える。やはり登って来て良かったと思った。

  (右が伊豆ケ岳、左が古御岳)

 しばらくすると、「子ノ権現0.8Km」の標識があり、元気が湧いて来た。
 途中のピークで伊豆ケ岳で私より先に下った男性が休んでいた。オバさんはいない。足の速いオバさんだ。

 祠があるピークから下って行くと、小さな鳥居があり、それを潜った所が竹寺との分岐になっていた。

 そして、「山は甘くない」との表示板があり、すぐにパーと視界が開ける。そこから伊豆ケ岳と古御岳がバッチリ見えた。やっと写真が撮れた。ここから見る古御岳がいい。


(右が伊豆ケ岳、左が古御岳)

 そこから4、5分で子ノ権現天龍寺へ着いた。子ノ権現は、足腰守護の神仏だという。早速、お参りをした。

 ここは大きなワラジが有名で、世界一の鉄のワラジは2トンもあるという。

 本堂から参道を下って行くと、大きな仁王像があった。通り過ぎてから振り返って見ると、凄い睨みと迫力に圧倒される。

 鳥居を潜ると推定800年といわれる二本杉があった。一本は途中で切られていた。
 この杉の近くでオバさんが弁当を広げていた。これで伊豆ケ岳から一緒に下った2人にやっと追いついた。

 ここから西吾野駅へ下り、西武秩父線で正丸駅へ戻った。