中ノ岳(なかのだけ)

(2,085m、新潟県)  160座

荒沢岳から見た中ノ岳(10月中旬、十字峡は反対側になる)


十字峡登山口〜中ノ岳〜十字峡登山口 (1泊2日)
2008年9月9日(火)

自宅415−青梅IC−六日町IC−730十字峡登山口755〜835一合845〜940二合950〜1027三合〜1102四合1115〜1210五合(日向山)・昼食1245〜1307六合〜1353七合(小天上)1410〜1531池ノ段(九合)〜1558中ノ岳

 中ノ岳という山は全国に数多くあるが、この中ノ岳は越後三山の最高峰である中ノ岳である。越後三山は駒ケ岳と八海山はすでに登っているので早く中ノ岳を登りたいと思っていたが、計画する度に天気が悪く延び延びになっていた。

 昨日、天気予報で「明日、明後日とも全国的に晴れる」と聞いて、「よし、明日は中ノ岳へ行くぞ!」と吠えた。コースは十字峡から中ノ岳へ登って避難小屋へ1泊し、翌日は丹後山まで縦走することにした。

 朝、4時15分に自宅を出発。今日は圏央道の青梅ICから高速に乗った。関越道からは榛名山や赤城山がクッキリと見えた。しかし、谷川岳が見えない。ガスがかかっているようだ!
 関越トンネルを出ると、どの山も山頂が見えず、山裾さえボンヤリとしか見えなかった。ちょっと心配になったが、「朝霧は晴れる」というから大丈夫だろう。

 六日町ICで降りて十字峡近くなると、「熊注意」の立て看板が多くなった。八海山は熊はいないと聞いたが、ここはいるようだ。
 さらに、「トンネルから先通行止」とか、「ダムは一周出来ません」とか書かれた表示があった。「十字峡まで行けるのだろうか?」と不安になったが、何とか行くことが出来た。

 私が登山訓練センターの前へ到着した時、一人の男性がザックを背負って出かけるところだった。その人は通行止めの丹後山登山口の方へ歩いて行った。崖崩れで通行止めだというのに本当に登山口まで行けるのだろうかと心配してしまった。

 登山訓練センター(写真右)の前に彼の車が1台だけ止まっていた。私も登山口に一番近いところへ止めた。7時30分着。
 ここから30mほど上部にある駐車場には車が3台止まっていた。

 7時55分発。
 いきなり急登のコンクリートの階段を登って行く(写真左)。すぐに赤土の急登になった。昨日、雨が降ったようで赤土が滑る。しかし、10分足らずでなだらかになったが、またすぐに急登になった。

 今日は避難小屋泊まりなので自炊道具や寝具、食料、さらに水やビールまで背負っているので応える。

 いつの間にか樹木の間から青空が見えるようになって来た。
 足元にはイワカガミがいっぱいあった。花時はさぞかし見事だろうと思った。

 やっと尾根へ出た。そこに「一合」の標識があった。広く平らになった所で、休憩にはもってこいの場所だった。こんな良い場所で休まない手はない。早速一服することにした。8時35分着。

 左手に越後駒ケ岳が見えたが、山頂は雲に覆われて見えなかった。「早くあの雲が消えてくれないかなあ・・・」。
 一服した後、スバッツを付けた。今日は新品の寝袋を持って来たので、ズボンを汚すと寝袋が汚れてしまうからだ。

 日当たりの良いところでは、わずかに紅葉が始まっていた。しかし、デジカメの調子が悪く、何回シャッターを切っても紅葉の色が出ない。どうしちゃったんだろう?

 クサリ場が現れた。クサリに伝って登ると、今度はガレ場の直登である。
 そのガレ場を越えてしばらく行くと、「水場」の表示があった。水はたっぷり持っているので行く気はないが、かなり下の方から沢の音がかすかに聞こえるような気がした。

 再びクサリ場になった。クサリを2本登ったが、その後も岩場が続く。昔、火山で流れ出た溶岩がそのまま固まったという感じである。岩場は足場がしっかりしているので特に問題はない。

 この岩場を登り切った所に「二合」の標識があった。9時40分着。
 ここも広くて休憩には絶好の場所だった。ここの標識は広い尾根を選んで立てているのかも知れないと思った。
 一服している間に、やっと駒ケ岳の山頂が顔を出した。それに正面に見える日向山には小屋らしきものが見えるが、一体何の小屋なのだろう?


(一合目からの駒ケ岳、山頂は見えない)

(クサリ場)

(正面が中ノ岳の前衛、日向山)

 二合を9時50分発。
 しばらくはなだらかな尾根を歩き、幾つか小さなアップダウンを繰り返すと三合になった。ここは一合、二合に比べて近すぎるような気がした(ちょっとインチキ臭いと思った)。そのまま素通りして行く。

 しばらく登ると、太いブナ林になった。やはりブナ林を歩くのは気持ちがいい。
 四合へ11時2分着。ここで一本。11時15分発。

 ここからは正面の日向山に向って登って行く。

 いつの間にか空模様が怪しくなって来た。西の空に青空がわずかに見えるだけで、あとは白い雲が覆って来た。すぐに雨が降るようなことはないだろうが、今日の天気予報は全国的に快晴と報じていた。今日も予報がハズレるのだろうか?
 そんな心配をしていたが、また少しずつ青空が見えるようになって来た。

 五合の標識が立った日向山へ12時10分着。ここは日向山の直下にあった。私はせっかくなのでそのまま3、40mほど登って山頂へ行った。すると、正面に越後駒ケ岳が初めて全景を現していた。駒ノ湯から登った小倉尾根が懐かしかった。

 しかし肝心な中ノ岳は依然として山頂は見えない。ここから見る中ノ岳を期待していたのだが・・・。
 ここで昼食にした。それにしても、まだ五合で4時間もかかっている。山頂まであと何時間かかってしまうのだろうか。急いで昼食を済ませて出発する。


(すでに紅葉が始まっている)

(ブナ林)

(日向山の山頂からの越後駒ケ岳)

 五合の標識から2、30mも下ると平らになり、池があった。その後も大小の池が現れた。この辺は生姜(しょうが)畑といわれ、昔の金鉱採掘の跡らしい。そもそも生姜のような形をした自然金が採掘されたことが、この地名の由来だという。
 ただ、ここはぬかるみがあって歩きにくい。滑らないように注意しながら歩いて行った。


(池塘)

(?)

(オヤマノリンドウ)

 この池塘を過ぎると六合になった。その六合を過ぎたところで下山者にあった。身軽な格好をしたオジさんだった。どうも日帰りらしい。
 このオジさんから、「小屋泊まりの人が一人登っている」と聞かされた。これで今夜は一人ボッチでなくて安堵した。
 さらに女性2人が下って来た。こんなキツイところを日帰りするとは、かなりの健脚なのだろう。

 道端にミヤマコゴメグサ(写真左、ピンボケで済みません)が群落で咲いていた。この時期に花に会えるとは嬉しい。
 お天道様が顔を出し、ガンガン照りつけるので暑い。
 ここで、ついにデジカメが写らなくなってしまった。何回もいじってみたがダメだった。もう諦めるしかない。

 小天上のピーク(七合)へ13時53分着。中ノ岳は依然ガスっている。右手の方は兎岳や丹後山、遠くは巻機山まで見えた。しかしカメラに収めることは出来ない。

 いよいよここからが本峰への登りである。小天上から10分も登って、再び視界が開けた時、待望の中ノ岳の全景がみえた。ヤッター!
 道端にハクサンフウロも咲いていた。先日、アルプスで見た時より色が鮮やかだ。

 ここからが胸突き八丁かと思うほどの急登になった。一歩一歩気合いを入れながら登って行く。
 この急登を1時間登っても八合の標識が出てこない。途中で見落としてしまったのだろうか。とにかく一息入れよう。

 休憩してから5、6分で池ノ段の分岐へ着いた。ここが主稜線で右が兎岳、丹後山方面で、左が中ノ岳である。サア、あと一息だ! と気合を入れて中ノ岳へ向かって行く。
 この池ノ段の周りには、ニッコウキスゲが群落で咲いていた。ウソー、と思いながらもこの時期にニッコウキスゲが見られるなんて嬉しい。

 さらに色鮮やかなマツムシソウが咲いていた。今までどこで見たものより、色が鮮やかだった。気温や朝夕の温度差でこんな鮮やかな色になるのだろうか。

 ボッテリしたピークを幾つか巻いて、やっと山頂へ立った。小屋はもう目の前にあった。15時58分着。何と8時間もかかってしまったが、十字峡からの標高差が1,635mもあり、荷物が重かったから仕方がない。

 山頂からは越後駒ケ岳、八海山、荒沢岳、丹後山、巻機山、苗場山など360度の眺望だった。
 しばらく眺望を楽しんでから、避難小屋へ向かった。予想通り先客が1人いた。この方から「1人じゃあ寂しいから」と歓迎された。

 小屋は小奇麗でトイレもあった。もちろん展望もバツグンである。先客の方は日本300名山をめざしており、この中ノ岳で299座だという。そんなベテランから色々と教えて頂いた。


2008年9月10日(水)

中ノ岳避難小屋500〜中ノ岳530〜620七合630〜710五合720〜840二合850〜925一合935〜1000十字峡登山口

【ここから下の写真は一緒に避難小屋へ泊ったベテランのNさんが送ってくれたものです】

 朝4時起床。朝食を済ませ、5時に避難小屋を出発。山頂でご来光を待った。
 東の空がオレンジ色に染まって綺麗だ。

 5時20分、オレンジ色の光線が走り始める。感動の一瞬である。
 駒ケ岳(写真左)の山頂がオレンジ色に染まっていく。もし近くの山から、この中ノ岳を見ている人がいたら、きっと我々もオレンジ色に染まっていたに違いない。

 八海山も輝き出した。富士山も遥か遠くに見える。二人ですばらしい朝に酔いしれた。

 もう充分堪能したので下山することにした。5時30分下山開始。二人とも当初の予定では丹後山まで縦走してから下山する予定だったが、林道が崖崩れで通行止めになっていることから、このまま往路を引き返すことにした。(人は通れたらしい)

 昇ったばかりの朝日を浴びながら稜線を行く。さわやかで気持ちがいい。つい、このまま丹後山まで行きたくなってしまうが、池ノ段から右手の十字峡方面へと下って行く。
 ここからは南斜面になるので陽は差さないが、朝の澄んだ大気が心地よい。

 登りの時には気づかなかった「八合」は、笹の急斜面の中にあった。足元だけを見て登っていたので見落としたようだ。

 七合へ6時20分着。ここで一服。ベテランもヘビースモーカーだというので意見が合う。
 振り向けば中ノ岳がでかい。あまりにもデカ過ぎて全容が分からないほどだ。

 六合を過ぎると池塘と草地が現れる。朝露でズボンの裾がビッショリになった。ベテランは足が速く姿が見えなくなったが、五合(日向山)で待っていてくれた。

 ここから見る中ノ岳がでかい。逆光で黒々としているが、とにかく重量感がある。すぐ左手の駒ケ岳はややもすると中ノ岳へ続く稜線の一部にも見えてしまうが、全体的には駒ケ岳の方が品格があるような気がした。深田久弥さんもそう感じたからこそ駒ケ岳を百名山に選んだのだろう。


(五合からの中ノ岳。左奥が駒ケ岳)

 五合から5、6分ほど下った時、若者が一人登って来た。十字峡を5時20分に出発したという。2時間で五合まで来るとは凄い。

 四合から駒ケ岳がピラミッドのように見えた。
 二合へ8時40分着。ここでも10分の休憩。
 ここからは一直線のガレ場が待っていた。慎重に下る。さらにクサリの連チャンだ。ここは登りもシンドイが下りもシンドイ。

 一合からは樹木の背丈が高くなったせいか、沢が近くなったせいか、とにかく風が涼しく感じる。汗ばんだ身体に心地よい。最後の下りを一気に下りた。