男体山 @二荒山神社〜往復


中禅寺湖から見た男体山。


1995年7月2日(日)

湯西川温泉(前泊)−中禅寺湖・二荒山神社前〜男体山往復−沼田IC−川越IC−相模原

 職場旅行で栃木県の湯西川温泉へ行くことになり、土曜日の夕方に現地集合、翌朝自由解散というので、私は車で行って日光の山を登ってから旅館へ行こうと思っていたが、天気が思わしくないので、帰りに登って来ることにした。

 前夜のアルコールがまだ抜けきらないまま、朝5時に宿を出た。
 湯西川温泉から日光の中禅寺湖を目指して車を走らせて行く。朝が早いため道路はがらがらだった。

 中禅寺湖畔にある二荒山神社前の無料駐車場へ車を止め、境内にあるはずの登山口を探したが見つからなかった。周りは朱塗りの板塀で囲まれており、扉はまだ閉まっていた。

 20分近くもウロウロしてしまったが、やっと裏山へ出る小径を見つけることができた。そこはゴミ捨て場だったが、苔むした所にわずかに踏み跡があった。その踏み跡を登って行くと、すぐに幅が3メートルもありそうな立派な登山道へ出た。

 男体山は中禅寺湖から一気に1,200メートルも登る急登である。ただひたすら登って行く。
 しばらくは森林地帯で薄暗く気味悪かった。所々にシカが皮をはぎ取った杉の大木があった。地元ではシカ被害で困っているようだが、私は「クマが出没するのは困るがシカならいいや」と思った。しかし、薄暗い森林の中をたった一人で歩いていると、風でゴソゴソするだけでビクビクした。

 振り向くと樹木の間から中禅寺湖が光って見えた(写真右)。

 九合目近くで初めて人に会った。後ろから単独のオジさんが猛スピードで登って来た。そして、そのオジさんは、
「いい山でしょう……ここは……。私はここが大好きでねえ……。毎月のように来ているんですよ」
 と言った。

 私は急登の単調な登りにウンザリしていたので、「世の中には変わった人がいるものだ」と思った。

 九合目を過ぎると砂礫となり、やっとアルペン的になって来た(写真左)。

 その砂礫を一気に登りきった所に二荒山神社の奥宮があった。そこにテントを張って無線をやっている人がいた。せっかく辿り着いた山頂が無線の声でうるさく、非常識だと思った。

 私は少しでも静かな所へ行こうと思って、右手の稜線を進んでいくと、そこに本当の山頂があった。すでに7、8人の先客が弁当を広げていた。

 山頂には大きな岩があり、その岩に私の背丈よりも長い大刀が標識のように立っていた。


(山頂の三角点)

(大刀)

 私は、日光は郷土が近いこともあって何回も来ているが、男体山は登ったことがなく、日光へ来るたびに何か忘れ物をしているような気がしてならなかった。これでやっとスッキリすることが出来た。

  
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