御座山(おぐらさん)

(2,112m、長野)  114座


山口登山道から見た御座山(中央)。
写真は北相木村役場提供


山口登山口〜御座山往復

2003年6月7日(土)

相模原450−相模湖IC−須玉IC−小海−北相木−山口登山口800〜1017稜線〜御座山1115〜山口登山口

 この山は「御座山」と書いて「オグラさん」と読む。山岳ガイドブックには「おぐらやま」と書いてあったが、地元の役場のホームページには「おぐらさん」と書いてあったので、「おぐらさん」と呼ぶことにする。

 地元のホームページによると、『この山の由来については、神様のおいでになる山ということから、天皇がお座りになる所をさす高御座(たかみくら)の御座(みくら)に由来するとの説もあります』と書かれており、さらに、『ふもとから見上げると頂上付近の岩の部分が人の顔に見え、神様のおいでになる山という話も納得できます』、と書かれている。

 私がこの山を知ったのは半年ほど前で、山頂部の岩塊に魅せられてすぐにでも登りたいと思ったが、この山はシャクナゲが多いと知って、「どうせ登るならシャクナゲが咲く頃にしょう」と、この時期を待っていたのである。

 4時50分に家を出発。途中、コンビニで弁当を買い、相模湖ICから中央高速を飛ばして行った。天気予報では、「今日は晴れ時々曇り」と報じていたが、白く立ちこめた雲で富士山も南アルプスも見えなかった。

 双葉IC近くまで行っても甲斐駒も八ヶ岳も見えなかった。「今日は雨が降らなければいい」と覚悟しながら須玉ICで降り、141号線で清里、小海を目指して行った。

 目的地である北相木(きたあいき)まで行き、肝心な所で大チョンボをしてしまった。と言うのは「白岩登山口」へ行くつもりが「山口登山口」へ行ってしまったのである。

 山口というバス停の先に「御座山」の標識があったので、つい行ってしまったのである。舗装された林道からやがてダートになり、路肩が狭く急坂で登れなくなった所に車が1台止めてあった。私もその脇へ車を止めた。ガイドブックには白岩登山口の駐車場は15台位止められると書いてあったが、そこは3台置くのがやっとだった。しかも何の標識もない。「おかしい」と思いながらも、まだここが「白岩登山口」だと信じて疑わなかった。

 私が車を止め、出掛ける準備をしていると、下からジェミニが1台登って来た。しかし、坂が急で登れず、バックして近くの空きスペースへ止めているのが見えた。

 8時ジャストに出発。急な林道を登って行く。車輪の跡がわずかにあるが、ここはジープかパワーのある4駆でないと登れないだろうと思った。
 空はどんよりとして、いつ降って来るか分からないような空模様だった。

 15分ほど歩き、底水と書かれた取水場のところで厚手のシャツを脱いだ。この辺はカラマツ林の明るい林道で、新緑が美しかった(写真左)。

 そこから10分ほど登ると、やっと登山道になった。そこでジェミニで来た人に追い越された。30代の単独行だった。ここはクマが出そうなので、一人でも先に歩いてくれた方が安心する。

 さらに15分ほど登ると沢の音が聞こえてきた。沢の近くで休憩。この辺からはツガやトウヒなどの原生林になり、休憩していても薄気味悪く落ち着かない。それに上部はガスって見えない。

 ガイドブックでは、見晴台まで1時間10分と書いてあるが、1時間30分(9時30分)歩いても見晴台へ着かない。登っても登っても同じような原生林の急登が続く。それに今回の最大の目的であったシャクナゲも1本も見当たらない。

 ガイドブックには、『駐車場から西へひと登りで稜線に出る。シャクナゲが現れると見晴台へ着く』と簡単に登れそうに書いてあるが、一体どうなっているのだろう。今日は体調が悪いのだろうか。

「あと5分、あと5分」と休憩もせずに頑張ってしまい、稜線へ出た時はメロメロだった。10時17分着。
 稜線に出てもシャクナゲは1本もなく、展望も利かず、どう見ても見晴台という感じはしなかった。良く見ると「山頂まで20分」と書かれた小さな標識があった。その標識を見ながら、「これ、どうなっているんだろう」と、しばし立ち尽くす。(ここは南の鞍部で、2時間のコースだった)。

 山頂と書かれた方(左手)から人の声が聞こえて来た。とにかく山頂へ行けば何とかなるだろうと思い、かなり急な斜面を登って行った。
 5分ほど登ると、やっと待望のシャクナゲが現れた。しかし、花もツボミもなかった。

 さらに登って行くと、途中で追い越されたジェミニの単独行が下って来た。彼からここが山口登山道であることを聞かされ、「道理でおかしいと思った」と納得した。彼も白岩登山口と間違えて登って来たと言う。

 10分も登ると立派な避難小屋があった(写真左)。建て替えたばかりのようでピカピカだった。そこを左に曲がると、すぐに山頂部の岩塊が見えた。

(山頂直下の岩場)

(山頂部は広い)
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(山頂)


(頂上部の岩場はこんな感じ)

 山頂部の岩塊にはすでに10人以上の先客がいた。

 まずは山頂で写真を撮り、それからゆっくりと昼食にした。
 本来ならここから八ヶ岳や両神山などが見えるらしいが、あいにく展望は利かない。

 食事をしている間にも、続々と登って来た。さすがは日本200名山だと思った。
 山頂にいる人のほとんどが白岩から登って来たと言う。私はシャクナゲが見たい一心で、このまま白岩へ下ってバスで山口まで戻り、歩いて車を取りに来ようかと思ったが、今年はシャクナゲの花が少ないと聞いて諦めた。シャクナゲは1年おきに花をつけるというので、来年、また来ることにしよう。その時こそ白岩から登ろう。

 11時15分下山
 登って来る時は下ばかり見ていてシャクナゲが咲いているのに気づかなかったが、この山口登山道にも少し咲いていたと聞き、カメラを持ってシャクナゲの花を探しながら下った。山頂から5、6分ほど下った登山道の脇に花が咲いている木が2、3本あった(写真左)。やっと御座山のシャクナゲを見ることが出来た。

 ツガやトウヒの原生林を抜けると、春ゼミの大合唱だった。久しぶりにやかましいほどのセミ時雨を聞きながら、のんびりと下って行った。

 駐車場まで戻って帰りの準備をしていると、下から6、7人のパーティーが登って来た。そして「済みません、ここはどこですかねぇ・・・」と聞かれる。20代の若いパーティーで女性も2人いた。彼らも道を間違えたらしいが、ここがどこだか分からないという。

 たしかに、彼らが持っていた地図には「山口登山口」は載っていなかった。私は彼らが広げた地図上で現在地とコースについて説明してやったが、これから往復すると日没近くなってしまうだろうと心配した。そして、せめて山口バス停の先にあった「御座山」の標識の下に、「山口登山口」の表示があれば、こんな間違いはなかったのに、と思った。