桜 島 (さくらじま)

(1,117m、鹿児島)  198座


鹿児島湾(錦江湾)越しに見る桜島。噴煙が上がっているのが分かる。


桜島港〜湯之平展望所・往復

2012年1月9日(月・祝)

羽田空港905−1105鹿児島空港1130−(リムジンバス)−1210鹿児島中央−観光−市内(泊)

 桜島は日本200名山であるが、現在は火山活動のため登山禁止になっており、標高374mの湯之平ゆのひら展望所までしか行くことが出来ない。そのため展望所まで登れば登頂とみなされているが、車でも行けるので登山の対象としては物足りない。

 そこで、今年はミヤマキリシマが咲く6月頃に久住山と霧島を再登し、その帰りに桜島へ寄って来ようと思っていたが、先月、新聞で、『桜島は爆発的噴火の回数が過去最高を更新した』という記事を見て焦りが出た。いつ大きな爆発があって展望所さえ行けなくなってしまうか分からないからだ。

 そこで、とにかく行ける時に行ってしまおう、と新年早々、出掛けることにした。桜島だけの遠征はもったいない気もするが、これも仕方がない。

 羽田9時5分発の飛行機に乗った。
 鹿児島空港へ近づくと、上空から桜島が見えたが山頂部は雲に隠れていた。

 鹿児島空港からリムジンバスで鹿児島中央駅へ向かった。空は雲が多いが所々に青空も見える。

 車窓からやっと桜島が見えて来た。しかし、ボンヤリしていて絵にならない。「もっとクッキリ見えると良いんだがなあ〜」とボヤキが出た。

(バスの車窓から撮った桜島)

 鹿児島中央駅で名物の黒豚のカツを食べてから、タクシーに乗った。そして、桜島が見える海岸沿いを案内してもらう。
 最初に行った公園のような所からは桜島が正面に見えた。しかし、ボンヤリとしか見えない。青空が広がっているのに視界が悪い。

 タクシーの運転手さんが、「今日は風がないから、火山灰が真っ直ぐ落ちるので霞んでしまうんですよ」と言う。
 そして、「今、噴火してますよ。ほら!」という。なるほど右手の南岳あたりからモクモクと噴煙が上がっているのが見えた。

 出来れば磯公園からの桜島が見たかったが、これでは行っても意味がない。さらに海岸沿いを走ってもらったが、風向きが変わったせいか、桜島は霞むばかりだった。

 桜島桟橋で降ろしてもらい、明日のためにフェリーの乗り場(写真左)を確認した。フェリー乗り場のすぐ隣に水族館があったが、山屋は魚などに興味はない。

 ここからも桜島は見えたが、依然としてパッとしない。写真は明日に期待しよう。

 今宵の宿は、桟橋から徒歩5分ほどの所にあった。ここは「展望風呂から桜島が見える」というのがウリだが、それに偽りはなかった。正面にド−ンと桜島が見えたが、相変わらずボンヤリとしか見えなかった。やはり噴煙のせいだろうか。    
 夜はイルミネーションが綺麗だった。


2012年1月10日(火)

宿−鹿児島桜島桟橋631−646桜島港655−(バス)−702桜州小前〜715御岳の鳥居〜810十字路〜817湯之平展望所822〜919桜州小前〜938桜島港

 今朝は7時からの朝食を頂いてから出発する予定だったが、5時半に起きてしまった。山屋は朝が早いのだ。7時まで時間がもったいない。それに少しでも早く桜島へ行きたいので朝食をキャンセルして宿を出た。

 近くのコンビニでサンドイッチと缶コーヒーを買って朝食を済ませ、フェリー乗り場へ急ぐ。今日の日の出は7時12分なのでまだ真っ暗で、写真を撮ることも出来ない。フェリーからの写真は帰りに撮ろう。

 このフェリーは24時間運航というのが有難い。それに運賃(150円)が後払いというのも珍しい。

 桜島港は風が強くて寒かった。運賃を払って外へ出ると、バスがアイドリングをして待っていた。たった一人だけ乗っていた若い女性に、桜州小学校前に止まるかを尋ねると、止まるというのでバスで行くことにした。

 桜州小前でバスを降り、展望所を目指して歩いて行く。いよいよ桜島である。舗装された道を歩いて行くと、車が通るたびに火山灰を巻き上げて行く。
 昨日、タクシーの運転手さんが、「桜島の火山灰は重いので雨が降っても流れない」と言っていたのを思い出す。

 薄らと明るんで来ると、正面に山頂の御岳らしいピークが見えて来た。

 それにしても、何と埃ぽい道だろうか。車が通るたびに砂埃で先が見えなくなってしまうほどだ。 雪ならば温かくなれば解けるが、火山灰は解けないから始末が悪い。   
 15、6分も歩くと御岳神社と書かれた鳥居があった。その鳥居の脇からも舗装された細い道があったが、背丈以上もある草に覆われていた。

 道端から見えるビニールハウスはどこもボロボロだった。降灰で放棄してしまったのだろうか。所々にある民家も廃墟のようで、何かむなしさを覚える。道端の草木も灰を被って白っぽく異様だ。


(道路の端は火山灰の吹き溜まり)

(道端のマキの木も・・)

(ツツジも火山灰を被って真っ白だ)

 こんな所を歩いて登るのは、余りオリコウさんとは思えない。もうメモ帳さえザラザラして来た。
 トラックが通ると全身埃まみれだ。ここには人の生活感のようなモノが全く感じられない。

 小1時間も歩くと右手の眼下に錦江湾が見えて来た。やっと桜島へ来ているという実感が湧いてきた。それに今、シジュウカラが1匹さえずり出した。やっと山へ来たというか生命の息吹のようなものを感じる。
 そして、正面に豪快にそそり立った桜島(御岳?)が見えて来た。「あ〜、あのテッペンまで登りたいなあ〜!」


 今、南岳付近で噴火したようで、噴煙がモクモクと上がっているのが見えた。


 8時10分、十字路へ出た。私が持っている地図では火山観測所との分岐はY字路になっているが、実際は立派な十字路である。大きな標識があったのでそれに従って左折すると、3、4分でレストハウスが見えて来た。

 広い駐車場には車が1台も止まっていない。私を追い越して行った車はどこへ行ったのだろうか。
 レストハウスはまだ閉まっており、人っ子一人いない。何か不気味さえ感じる。

 湯之平展望台は風が強くて寒い。その上、埃っぽいので急いで写真を撮った。ここからは鹿児島から見た桜島とは違った桜島を見ることが出来た。ただ、少々逆光なのが残念だった。

(湯之平展望所からの桜島)

 写真を2、3枚撮っただけで退却。
 分岐を右に曲がって桜島港へ下って行く。

 山が左手に見えるようになって来た(下の写真)。良く見れば手前のゴツゴツしたピークより左奥の方が高いことが分かる。やはりあれが山頂の御岳のようだ。

(左奥が山頂の御岳)

 途中で、雑草に覆われたビニールハウスを修理している人がいた。放棄されたのではなかったようで、何かホッとするものがあった。

 小学校前のバス通りへ出た。バスの時刻を見ると20数分待ちだったので歩いて行くことにした。桜島港まで19分で着いた。

 フェリーから錦江湾に浮かぶ桜島の写真を撮ろうと、展望デッキに陣取ったが、桜島は最後までボンヤリとしか見えなかった。

 まあ、今回は展望はイマイチだったが、とにかく桜島をわずかでもこの足で登ることが出来たので良しとしよう。

「桜島よ、さらばじゃ〜!」