白砂山 (しらすなやま)

(2,140m、群馬・長野・新潟)  146座

堂岩山から見た白砂山


白砂登山口〜地蔵峠〜堂岩山〜白砂山往復

2006年9月30日(土)

自宅400−日の出IC(圏央道・関越道)−600渋川伊香保IC−R353−R55−R292−R405−743白砂山登山口800〜835地蔵峠〜940水場945〜堂岩山〜1147白砂山1220〜1406水場1413〜1547登山口

 今週は、「日帰りで行ける山」ということで、白砂山へ行くことにした。

 最初は志賀高原の最高峰である岩菅山へ行こうかと思ったが、日帰りで行くにはちょっと遠すぎる。それに志賀高原の紅葉にはまだ早いだろう。そんな訳でモチベーションが上らずにいたが、2日前になって白砂山から佐武流(さぶりゅう)山が目の前に見えると知って、急遽、白砂山へ行くことに決めた。佐武流山は日本200名山の中でも難易度が高い山なので、せめて山容だけでも見て置きたかったからだ。

 朝4時に家を出発。いつもは16号線で川越まで行くが、今日は時間短縮のため圏央道の日の出ICから高速に乗った。今日は草津温泉の先にある野反(のぞり)湖まで行かねばならない。時間との勝負である。

 渋川伊香保ICで降り、R353で中之条へ出た。ここからR145で長野原、R292で草津を目指して行くつもりだったが、どうもおかしい。カーナビに導かれるままに進んで行くと山の奥へ奥へと入って行く。だんだん心配になって来た。

 草津へ行くのにこんな山道を通るはずがない。「おいおい、こんな山道を通っていいのかよ、このバカナビめ! 私は急いでいるんだよ! カンベンしてくれよ・・!」と嘆く。
 そもそも志賀高原の岩菅山にセットしてあったカーナビを、昨夜急いで変更してコースの確認をしなかったのがいけなかった。

 ここから引き返すわけにも行かない。道路標識には「県道55」「中之条草津線」とあるから、このまま行っても草津へ出るだろうと、そのまま進んで行った。

 やがて「暮坂峠」を越え、R292に出ると「野反湖」の標識が出たのでホッとした。R292をそのまま直進するとR405となり、野反湖へ出る。R405も林道同然である。

 R405を登り詰めると野反峠へ出た。野反湖が眼下に見えた(写真左)。小さくてかわいいほどの人口湖である。この湖ができるまでは、この辺は秘境中の秘境だったという。

 頭上には少し雲があるものの、蒼い空が広がっている。まさに秋の空だ。周りのダケカンバがわずかに色づいていた。

 湖畔の道を下りながら進んで行くと大きな駐車場へ着いた。7時43分着。渋川伊香保ICから1時間43分だった。予定より1時間以上も早く着いたのでホッとした。

 駐車場の隣には売店兼食堂と立派なトイレがあった。(帰りに売店のご主人に、高速へ出る道を尋ねたところ、R55が最短とのことだった。つまり峠越えで来たのが正解だった)。

 100台も置けそうな広い駐車場には7、8台しか止まっていなかった。その中には釣り人の車もあるだろうから登山者は少ないようだ。

 車から降りると、大気がひんやりと冷たかった。来る途中にあった電光掲示板に「気温13度」と表示されていたから、ここはもっと低いだろう。

 8時ジャストに出発。
 登山口は駐車場の奥にあり、立派な標識が立っていた。近くにいたご夫婦から、「ここは熊が出るそうですよ」と言われる。すぐ近くにキャンプ場があるが、熊出没のため使用禁止となっているという(9月30日まで)。熊はもうこの時期は下へ降りているから大丈夫だろうと思いつつも、熊チェックをしながら行くことにした。

 紅葉がわずかに始まった道を5、6分も登ると下りになった。尾瀬の鳩待峠の下りを思い出した。山は登るものなのに、すぐに下らされるとペースが狂ってしまう。

 15分ほどで沢へ出た。木の橋を渡って行く。
 落葉樹の明るい道を行く。時々、すばらしい紅葉に目を見張る。紅葉は余り期待していなかったのでカンゲキである。


 8時35分、切明との分岐着(上段:右上)。
 実はここが「地蔵峠」とは気づかなかった。峠とは鞍部にあるものと思っていたので、登りの途中にあったこの標識を単なる分岐点だと思った。標識にも地蔵峠とは書いていなかった。写真を一枚撮っただけでそのまま登って行った。

 地蔵峠で一服しようと思っていたが、いっこうに着かない。一時間ほど歩いて小高いピーク(1802のピークと思われる)で休憩した。ここで一服していると単独行が追い越して行った。これで熊の心配はしなくて済む。

 少し下ると沢の音が聞こえて来た。あの鞍部が地蔵峠かも知れないと思ったが、そこは地蔵峠ではなく、野反湖見晴台となっている水場だった。地図を見て地蔵峠はとっくに過ぎていることを知った。眼下に野反湖が見えた。(写真左)

 水場までは数分下るようなので帰りに偵察することにして、ペットボトルの水を飲んで我慢した。

 ここからは紅葉が一段と見事になって来た。全体には2〜3分程度の紅葉だが、中には真っ盛りのものもあった。
 堂岩山の山頂近くなると、さらに色づきが良くなった。やはり2,000m近くなると色付きがいいようだ。

 紅葉に感激している間に堂岩山へ着いた。しかし、そこには何の標識もなく展望もないので、そのまま10mか20m進んで行くと、パーと視界が開け、左手に待望の白砂山が見えた(写真左)。感激!
 クマザサが覆い茂った奥に、すーと聳え立った山容は、写真で見るよりもはるかに迫力があった。はるばるやって来た甲斐があったと思った。
 そこから少し下ると、八間山との分岐があり草原が広がっていた(写真左)。

 クマザサに覆われわた中に紅葉が見える。白砂山の左手にあるはずの佐武流山が早く見たいと心が逸る。

 しばらくすると、その佐武流山が見えて来た(写真左)。

 しかし期待したほどの山容ではなく平凡な山容に落胆。特に大騒ぎするほどの山ではなかった。ただ数年前までは登山道もなかった秘境中の秘境、という魅力はあるのだが・・・。

 登山道が紅葉のトンネルのようになって来た。今までの群馬県側の斜面に対し、長野県栄村側の斜面は一段と紅葉がすばらしかった。栄村は今年の冬に大雪でニュースになった村である。やはり寒暖と積雪の量で生える植物が違うのだろうか。これぞまさしく紅葉という感じである。

 稜線はドウダンばかりでなく、ハイマツやシャクナゲなどもあった。シャクナゲも花の季節は見事だろうと思った。

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(下りに撮った写真)

(下りに撮った写真)

 こんな素晴らしい所をスタスタと歩いてしまってはもったいない。白砂山が正面に見えるところで大休止とした。白砂を見ながらコンビニで買ってきたおにぎりを食べた。佐武流山のピークの間から苗場山の頂上部分が見えた。

 いよいよ本峰への登りにかかる。ワンピッチで行けそうだ。日差しが強く暑い。もう下って来る人達もいた。

 山頂かと思って辿り着くとその奥にさらにピークがあった。騙されたが、すぐに中年のご夫婦がくつろいでいた山頂へ着いた。11時47分着。

 山頂には三角点があったが、いたずら書きのように書かれた標識は、何とも情けなかった(左下)。
 ここからの展望は360度ではあるが、草津白根山は上部が雲に隠れていた。岩菅山や妙高山らしい山が見えたが、ここからはかなり遠い。

 12時20分下山。
 ここは下山といっても登り返しが多く、登るのと余り変わらない。紅葉を眺めながら、ゆっくりと登り下りを繰り返す。

 八間山との分岐まで来ると、標識のところへ座り込んでラーメンを作っている男性2人組がいた。その内の一人から、
「山頂まで行って来たんですか?」と聞かれる。
「ハイ」と答えたが、ここまで来て目の前に見える山頂へ行かない人はいないだろう、と思ったが、彼らは「くたびれたから行かない」という。

 私は近くに腰を下ろして一服しながら、「ここから山頂まで1時間で行くからぜひ行った方がいい。紅葉も見事だから・・・」とお勧めしたが、どうも行く気はなさそうだった。

 ここから八間山を経由して下るコースは、明るく展望がいいらしいが、少し遠回りになるので往路を戻ることにした。

 見晴台の標識のところへザックを置いて、水場まで行ってみた。70〜80mトラバースしながら高度にして30mぐらい下った所に小さな沢があった。顔を洗い、水をガブガブ飲んだ。

 ここからは、もう下ることだけに専念する。しかし地面が濡れているので滑りやすくスピードは出せない。最後のハンノキ沢からの登り返しがシンドイ。しかし、距離が短かいので助かった。

 駐車場へ15時47分着。明るいうちに帰ってくることが出来た。
 帰りもR55で帰って来た。