東北帝国大学開学式祝辞 | 大正2年9月22日 | 東京帝国大学理科大学長 理学博士 櫻井錠二 |
東北大学のホームページを見ると、今年(2007)で創立100周年となり、記念事業が行なわれていて、「史料館」が一般公開されている。ところが、この「祝辞」は大正2年の開学式になっていて年数が合わない。不思議に思いよくよく調べてみたら明確な事情が「東北帝国大学ホームページの「東北大学の創設」にあった。 明治9年(1876)に発足した「札幌農学校」が明治40年(1907)に大学に昇格し「農科大学」となり、同時に仙台に「理科大学」が設置され二つの大学を合わせて東北帝国大学と呼ばれた。同年9月から「農科大学」は講義が始まったが「理科大学」は敷地も校舎も教職員等も決まらず、開校するまでに約4年かかり、明治44年(1911)9月から大学の活動が始まった。この第一回生が三年級に進んだ大正2年(1913)に東北帝国大学、理科大学の開学式が片平の地で盛大に開催され、式典、記念講演などの他に学内を一般公開し新校舎や実験器具などを市民が見学したそうである。 |
東北帝国大学は日本で最初に女性学生を受け入れたことでも知られている。第1号は40歳で入学の丹下ウメ。真嶋利行に学び、米国で栄養学を修め、理研の鈴木梅太郎博士の下で研究、67歳で農学博士となった。 黒田チカは女高師の助教授から入学(櫻井錠二の紹介で英オックスフォードに留学、後理研の真嶋研究室で紅の天然色素の構造解明。女高師助教授先輩の保井コノに続き昭和4年に第2号女性理学博士になった。 この記念すべき時期に新資料を岩村 緑氏が「東北大学へ」寄贈することになり大変喜んでいる。 |