台風18号襲来


2004年9月7日、大型の台風18号が山口県を襲いました。

島ではよく「大きな台風が下関辺りを通ったら被害が大きい」と言われます。
以前島に大きな被害を与えた台風19号はその進路を取っており、
今回の台風18号も同じようなコースを通りました。
そのため、家屋の破損、停電、電話不通、一部断水など島にはかなりの被害が出ました。


9月7日


7日は朝から風が強く10時過ぎには島中が停電となりました。
そして特に猛烈な風が吹いたのは、12時から14時の間でした。

14時半を過ぎると風もおさまり、といってもまだまだ強かったのですが、
それでも家の周りや船の様子が気になる人たちは外に出ていました。

瓦が飛んだ家や壁が崩れた家、道や路地には瓦礫やどこからか飛ばされてきたものやゴミが散乱し、
車やバイクはもちろん、歩くのも難しいほどでした。

学校も、小中学校校舎、体育館、給食室などすべて被害を受けました。(画像は中学校です)
(ちなみに中学校は8日以降は授業を中止して片付け作業にあて、13日より通常の授業に戻ったそうです)



船も、強風でブリッジが飛ばされたり、
台風の影響で海面が道すれすれまであがったせいで波止にぶつかってしまうなどして、
10隻以上が被害を受けました。

今回は波もかなり強く、長磯に打ち寄せた波は何度も道を越えて住宅までかかり、
東の波止では波が波止を大きく越えていました。

(画像は全て、強風が吹き終わった後に戸外に出て撮影したものです)




9月8日


台風が過ぎてから一日がたち、被害状況がはっきりしてきました。
瓦を飛ばされ屋根が崩れた家が多く、台風一過の晴天の下、あちらこちらの屋根で応急処置をする姿が見られました。

他にも電柱が「く」の字に曲がったり、古い石壁が崩れるなどしていて、
新庄さんの船小屋も屋根が吹き飛んで材木や道具が散乱し、中は「わや」になっていました。



海岸通りには海からのゴミが積み重なっていてとても通れるような状況ではなく、
朝一番からブルドーザーなど重機がフル作動で片付けてました。

漁協の中間育成用の生簀も陸に上げていたのに結局飛ばされるか流されるかしてしまい、
道をふさいでいたので重機で元の場所まで戻さなければなりませんでした。
県内の他の町では、稚魚を育てるためのタンクが風に飛ばされて民家にぶつかるなどした事故もあったようで、
住宅などに被害を与えずに済んだのは幸いでした。
なお、今回生簀が流された場所は、台風19号のときに生簀が流された場所とまったく同じだったそうです。




9月9日


台風の被害はもちろん集落周辺だけでなく海や山にも出ていますが、
やはり住宅や道などの復旧が優先になるので山のほうはどうしても後回しになってしまいます。

大きな波が波止を越えていた東の波止では、消波ブロック(テトラ)が流されてしまい、
30mほどに渡ってテトラが消え、波止の石垣の部分が丸見えになっています。

三浦の海岸線では道の下に穴が開いて中の石が流れ出てしまい通行禁止になり、
山でも木が折れたり根本から倒されるなどして道がふさがれている場所が多く見られました。
畑などでもミカンやびわの木が折れたり倒れたりしたところもあり、塩害で葉が枯れたりしています。

また、島には集落の東と西にお墓があるのですが、あまりの強風にお墓が倒れてしまっていました。
特に東の高い場所のお墓に被害が多いようです。






割れた瓦などの瓦礫は東の浜に種類別に集められていますが、そこまで持って行くのも大変な家も多く、
それらの後始末をどうするかも問題です。

瓦が割れた量も、壊れた家の数も多いため、大工や家を直せる人たちは大忙しで人手が足りず、
また瓦も材木も足りない状況で、島の集落の風景から屋根の青いシートが消えるのはずいぶん先になりそうです。
(画像に「いわい」が見えますが、定期船は7日は休航しましたが、8日の朝便からは動いていました)




9月10日以降

結局、祝島では電気は10日の午後に復旧し、電話も一部を除いて10日に復旧(ISDNのみ11日夕刻に復旧)、
一部の区域で断水していたのも電気の回復と同時に復旧しました。
怪我人なども、祝島の人たちは台風の風の強いときは家の外に出ないよう徹底しているので、
直接台風の影響で怪我をした人は出ませんでした。

今回の台風による被害は上関町内のほかの地域でも大きく、
特に四代は波止が一部港内に倒れ込み、定期船が港内に入れなくなってしまいました。
また、集落から外に出る道も崩れて通行止めになっていました。
現在のところ道は通行(片側通行)できるようになりましたが、倒れた波止はすぐにどうにかするわけにもいかず、
いまだに定期船は港内に入れない状態です。
(倒れた波止の撤去と修理に1年はかかる、との話です)

今のところ、なんとか外側の波止につけてお客や荷物の乗り降りはできていますが、
波が大きいときはその波止にはつけられず、四代には定期船は寄れなくなりますのでご注意ください。
また、遊漁はこれまでどおり四代港からの乗り降りができますが、こちらも波の大きいときはご注意ください。


今回、島の人たちが口をそろえるのが「(風の強い時間が)こんなに長かった台風は初めて」ということです。
風の強かった時間が長かったため、被害が拡大したようです。

ただ、被害自体は19号のときのほうが酷かったそうですが、当時より島民の高齢化も進み、空き家も増えているため、
今回の台風の被害から完全に復旧するのは19号のときより大変かもしれない、と言う人もいます。

撮影 2004/9/7〜9


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