生活が困窮している外国人らを支援する三重県津市の団体「多文化共生ネットワーク エスペランサ」が、外国人家庭に配る食料などの提供を募っている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、困窮家庭が増える恐れがあるという。

 8日午後、エスペランサの事務所にはカップ麺やおむつなどを届ける市民の姿があった。団体は、ふだんはフードバンクなどの協力を得て配布用の食料を調達しているが、2月末にSNSなどで食料や生活用品の提供を広く呼びかけた。これに応じた市民らから、およそ10家庭分の食料などが8日までに寄付された。

 提供を呼びかけた理由について団体代表の青木幸枝さん(64)は「4月から支援が必要な家庭が増える可能性がある」と話す。製造業で働く外国人の 家庭からは「仕事が週2、3日になった」「来月から2カ月間は仕事に来なくていいと言われた」といった声が寄せられており、学校の休校によって親が仕事を 休んで子どもの面倒をみているため収入が減っている家庭もあるという。青木さんは「景気の影響を一番受けるのが外国人労働者。新型ウイルスの影響が心配」と危機感を募らせている。

 団体が設立されたのは約10年前。青木さんは当時、小学校教師として外国籍の児童らの支援を担当していた。2008年のリーマン・ショックの時には外国人の親たちが次々と解雇され、ミルクが買えない、食べものが買えないという声があがった。外国人の保護者にアンケートをすると、約2割の家庭が生活保護受給の基準以下の収入だった。教師らがエスペランサを立ち上げ、生活用品や食料を家庭に配り始めた。今年度も約740件の支援を行ったという。

 「新型コロナウイルスの影響は先行きが見えない。聞き取り調査を行い、支援を続けていきたい」と青木さん。エスペランサでは日持ちのする食料や生活用品の提供を募っている。提供方法など問い合わせは青木さん(090・2611・1701)へ。(甲斐江里子)