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(三重)三重国際交流団体連絡会

外国人向け地図作製

誰もが住みやすく仲良く安心して暮らせるまちに


ポルトガル語版の生活地図を手にするメンバーや外国人ら

 津市内の学校や応急診療所などの場所を、わかりやすい記号や外国語で紹介した生活地図が、市内在住の外国人の日常生活を支えている。英語版とポルトガル語版の2種類で、作製したのは、県内で草の根活動を続ける国際交流団体でつくる三重国際交流団体連絡会(MIEC21)だ。

 前身は、県内の在住外国人を支援しようと、財団法人県国際交流財団の呼びかけで発足した県国際交流団体連絡会議。活動から10年の区切りを機に、「発展的に継承しよう」と、2002年5月に解散したうえ、約2か月後、13団体を中心にMIEC21を結成し、山根一枝さん(54)が会長に就任して改めて活動を開始した。これまでに、外国料理や日本語、ダンスなどの教室を開催する国際交流の団体や個人を紹介した冊子も作っている。


山根さん

 愛知県で05年に開催された「愛・地球博」(愛知万博)にも1週間参加した。瀬戸市の瀬戸会場の市民パビリオンで、点字絵本作りを約1300人が体験。「目の不自由な子どもだけでなく、すべての子どもが楽しめるよう彩色も施した。絵本の楽しさを知ってもらえれば」。スワヒリ語など13か国に翻訳した手作りの点字絵本とアルファベット絵カードを、外国パビリオンの関係者や、アフリカなど海外の図書館や学校に贈った。

 外国人向けの生活地図は、津市国際交流協会の委託を受け、昨年3月に英語版を完成させた。「けがをしたが、日曜日でどこの病院に行ったらいいのかわからない」。外国人の相談がきっかけで、1992年に山根さんや一緒に活動する外国人らが作った地図をベースにした改訂版だ。さらに今年3月には、ポルトガル語版を新たに作製した。公共機関や施設を始め、英語が通じる美容院や輸入食品店、主要な避難所などを掲載。店は「カート」、バスターミナルは「バス」など、施設を示す独自の記号を配置し、一部は写真も付けた。

 「今は多文化共生の時代。外国人が理解できるマークは、お年寄りらにもわかりやすいユニバーサルデザインにつながる。国籍や職業に関係なく、誰もが住みやすく仲良く安心して暮らせるまちにしたい」。山根さんは「今後は、外国人の多い鈴鹿や四日市などの生活地図の製作にも協力したい」と意気込んでいる。

(青山丈彦)


2009年10月19日  読売新聞)
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