| ■千葉日報2004年1月1日(木曜日)23面(社会面)記事より■ 守れこの命 bP 明日を生きる あまりに当たり前すぎて見失ってはいないだろうか。掛け替えのないものなのに。経済的にはデフレ不況が続き、社会的には治安の悪化に歯止めがかからない。混迷と錯綜(さくそう)を深める現代社会にあって、誰もが等しくたった一つだけ持っているもの。それが命。私たちはどのように自分を守り、他人の命を守るか。2004年、営々と受け継がれてきた命を明日につなぐべく、ひたむきに生きる人々を追う。 子供の権利確立を 21世紀に残された宿題 写真掲載(2002年7月に千葉市で行われた市民集会、子供と大人が本音で語り合った) 「本文」 児童虐待にいじめ、不登校、非行。罪悪感を失い犯罪に走る。障害を抱え、あるいは難病に侵された子供たち。明日を担う若い世代に、私たちは何ができるのだろうか。 私たちは祝福されて生まれたい▽私たちをありのままで愛してほしい▽私たちは自分の意志で生きていたい▽私たちはどんな暴力も受けたくない・・・。 市民団体「『千葉県子ども人権条例』を実現する会」(鎌倉淑子代表)が作成した条例素案の前文は高らかに謳(うた)う。「一人の人間として大事にされたい。まちがうことを認めて下さい」。子供たちの意見を取り入れた前文は、社会への強烈なメッセージでもある。 同会は、子供たちに関してさまざまな活動を行ってきた県内の団体や個人が結集し、2000年12月に発足。現在、52団体が賛同団体として名前を連ねている。池口紀夫副代表(62)は児童虐待を例に挙げ、「子供の人権が守られていない。問題を親だけに収れんしてはいけない。私たちの人権感覚が問われている」と指摘。「子供たちの命を守る法的根拠が必要だ」と続けた。 県内では昨年、二人の幼い命が家庭内の暴力で奪われた。父親や母親による傷害、暴行事件はもはや日常的に発生している。池口副代表は「行政の現場は一生懸命やっていると思う。しかし親(の立場)が親権で守られているため、児童相談所などはなかなか踏み込めずにいるのが現状。親権に対抗できる権利が子供にあれば、児童相談所に権限が与えられる」。 学校では、教師による生徒児童へのセクハラや体罰が後を絶たない。県教育長が異例の談話、通知を出す事態になった。同会は「学校や保護者に言えず悩んでいる子供たちがいる。訴えを聞く機関が必要」と子供の人権問題を監視、救済するセンターの設置を条例素案に盛り込んだ。 同会は発足以来、子供たちを招いた学習会や市民フォーラムを開催。今年初めには条例案をまとめホームページで公開する。基本理念としての前文は素案のままで決まる予定だ。市民レベルで盛り上げるため運動の普及を図る一方、「官民一体で取り組むべき」(池口副代表)と行政側への働き掛けもさらに強めることになる。 鎌倉代表(67)は昨年の16歳少女殺人事件など相次ぐ少年事件に「加害少年は真正面から向き合ってくれる大人がいなかったのでしょう。『子供は』とひとまとめにしてはいけない。条例は一人ずつ多様な子供に大人が向き合うシステム。速効性はないかもしれないが、何年後かに必ず効いてくる。子供を対等なパートナーとして受け止めるべき」と訴えた。 池口副代表は重ねて力説した。「人種や女性の差別は徐々にだが改善されてきた。後は子供たちの権利の確立。21世紀に残された宿題だ」 2004.2.15 毎日新聞記事へ |