第四部 あなたの防災対策

 4.9 地震保険

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 地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する制度であり、1964年(昭和39年)新潟地震を契機として、1966年(昭和41年)に「地震保険に関する法律」に基づいて創設されました。
 地震保険は1980年の大幅改定など数度の改定を経た後、2001年(平成13年)10月の保険料の改定と割引制度の導入があり、現在に至っています。

 火災保険と地震保険
 保険料
 支払われる保険金 
 加入状況


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【火災保険と地震保険】

 地震保険は、火災保険に付帯する方式の契約(付帯契約)であり、火災保険(主契約)に入っていることが前提となります。地震保険は、地震・噴火または津波を原因とする損壊、埋没、流出や火災(延焼・拡大被害を含む)を対象とした保険であり、火災保険では対象外となる損害を補うのが地震保険です。
 地震保険は住居の用に供する建物(専用住宅、併用住宅)と生活用動産(家財)が補償対象となります。
 地震保険は一度に巨額の保険金を支払う状況が生じる可能性があるので、「地震保険に関する法律」に基づいた政府主導の保険であり、損害保険会社が支払いできない場合に備えて国が負担する仕組みになっています。

 地震が原因となる火災は延焼でも火災保険の対象外であることを十分理解しておく必要があるものの、地震そのものでは無被害であった住宅が、数時間後に延焼しても火災保険が支払われない事実はなかなか理解しがたいものがあります。
 火災保険を理解するための例として、「倒壊 大震災で住宅ローンはどうなったか」 島本慈子著 筑摩書房 (1998/12) の一節を抜粋して示します。
 『 ・・・ 阪神・淡路大震災をめぐっては、神戸市を中心に約30件の火災保険金請求訴訟が起こされている。この日の会議で話題の中心になったのは、数日前に神戸地裁で出された判決だった。その訴訟の原告は神戸市東灘区に住んでいる。東灘区は地震被害が最も大きかった地域のひとつだが、原告の家は固い岩盤の上に建っていて、揺れによる被害は生じなかった。しかし、地震の二時間後に出火して全焼した。保険会社は「地震によって電気配線の被膜が破れ、そこに電気が通ったためにショートが発生、その火花が可燃物に移って生じた火災」と主張したが、裁判所は出火原因は不明と認定した。そして出火については保険金を支払うように命じ、同時に、それが延焼したのは地震によって消防力が低下していたせいだからその部分は免責するという判決をくだした。この場合、燃えたのは一軒だけである。つまり一軒の家を「火元」と「延焼」に分けるという異例の判決だった。地震当日の火災について支払命令が出たのは初めてのことである。出火を安易に地震のせいにしないという意味でも、原告団にとっては大前進の判決だったが、しかしどこからを延焼と定義できるのか、それが明確でない曖昧さがメンバーの関心を集めた。 ・・・ 』

 上記の判決の意味は、出火原因が地震でないあるいは不明ならば火災保険の対象となるが、火災保険の対象となるような出火によって延焼しても、延焼は地震が原因(消防力の低下)であるので火災保険の対象とならないということでです。

図マーク 図表 4.7.1 地震保険の都道府県別等地
地震保険等地図 都道府県別に1等地から4等地の4階級に分け、保険料の地域差に反映されています。

図は財務省ホームページ
地震保険の概要より
1等地 北海道、福島県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、福岡県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県
2等地 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、鳥取県、愛媛県、徳島県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県
3等地 埼玉県、千葉県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
4等地 東京都、神奈川県、静岡県

【保険料】

 地震保険の保険料率は、「損害保険料率算定会」が過去約500年間の地震被害から算出したものであり、損害保険各社が同じ保険料率を使用していますので、全社同一の保険料となっています。

 地震保険の契約金額は、建物・家財とも火災保険の契約金額の30〜50%の範囲内になります。ただし、限度額があり、建物は5,000万円、家財は1,000万円です。例えば、建物の火災保険の契約金額が2,000万円であると、建物の地震保険は600万円(30%)〜1,000万円(50%)の範囲で契約することになります。

 地震保険の保険料は、地震保険の契約金額の他に建物の構造による2区分(木造と鉄筋コンクリート造・鉄骨造)および図表 4.7.1 に示すように危険度による4区分(都道府県別危険度に応じて1等地から4等地)により設定されます。なお、2001年10月より築年割引および耐震等級割引の制度が導入され、耐震性能がより強く反映されるようになりました。
 築年度割引:1981年6月1日以降に新築された建物である場合は一律10%の割引。1981年には建築基準法が大改正され、耐震性能がそれ以前と較べて大きくなっていることによります。
 耐震等級割引:住宅の耐震性能に応じて10%〜30%の割引。
 これらの割引制度は、確認資料を提出した以降の契約期間に適用されます。耐震等級割引の確認資料には、指定住宅性能評価機関の発行する性能評価書などが必要です。
 詳細は損害保険会社に問い合わせてください。

表マーク表 4.7.1 地震保険契約金額 1,000万円の場合の年間保険料
日本損害保険協会「わが家をまもる地震保険」より
建物の構造 木造 非木造(鉄筋コンクリート造・鉄骨造)
契約の対象 建物 家財 建物 家財
等地 1等地 12,000円 12,000円 5,000円 5,000円
2等地 16,500円 16,500円 7,000円 7,000円
3等地 23,500円 23,500円 13,500円 13,500円
4等地 35,000円 35,000円 17,500円 17,500円

【支払われる保険金】

 支払われる保険金は被害の程度によって、全損、半損、一部損の3段階に分けられており、全損は保険金額の全額、半損は保険金額の50%、一部損は保険金額の5%が支払われます。なお、全損・半損・一部損の基準は建物、家財ごとに定められています。

【加入状況など】

 地震保険の加入状況などを讀賣新聞、毎日新聞および静岡新聞(ホームページ)の記事から抜粋して示します。

 讀賣新聞(2002 1/17)より抜粋
 昨年三月末現在の加入率は、保険料が最も高い「4等地」の東京(25%)、神奈川(23.7%)、静岡(19.5%)がたかく、危険度が高いほど加入率も上がる傾向にある。
 全国の加入率は、制度化されて間もない六七年度末には20%だったが、徐々に下がり、九二年度末には7%まで落ち込んだ。しかし、九五年一月に阪神・淡路大震災が起きると全国的に上昇に転じ、昨年三月末には16%(加入数約七百六十六万件)に達している。

 毎日新聞(2002 1/17)より抜粋
 関東大震災を想定して総支払い限度額を4兆1000億円と設定。うち国が3兆4891億3000万円、保険各社が6108億7000万円を積み立てることにしている。しかし現在の積立金は計1兆3195億円(国7433億円、保険会社5762億円)で目標額に達するのは数十年先になる見通しだ。 ・・・
 損保各社が加盟し、地震保険の保険料率を算定している損害保険料率算定会は99年、地震保険加入者(回答者1485人)と非加入者(同1423人)にアンケートを実施した。非加入者が地震保険に加入しない理由(複回答)のトップは「保険料が高い」(47.2%)だった。「(支払われる保険料では)建物の再築ができない」(27.7%)、「地震で被災することはないと思うから」(23.5%)を大きく引き離し、非加入者が「割高感」を感じていることを裏付けた。

 静岡新聞 ホームページ「東海地震は今」 [地震保険加入まだ2割](2001 5/8)より抜粋
 地震のたびに関心を呼ぶ地震保険。阪神・淡路大震災では、「地元で三%しか入っていなかった」事実とともに注目され、低落傾向だった加入率は以後、急増した。それでも世帯加入率は全国平均で一五%強どまり、一般の理解もいまひとつ。問題になった、地震が原因の火災を筆頭に、地震保険の”特性”はまだ十分知られているとは言えないようだ。

 まず、普通の保険と異なるのは「地震保険に関する法律」という特別法に基づく政府主導の保険だという点、規制緩和で自由化の対象となったが、社会性が高いため、保険料は算定された基準を各社が適用して業界共通になっている。
 加入方法も独特で、火災保険の免責部分を保障する形で生まれたため、原則として火災保険に自動的に付いてくる。希望しない場合のみ「申し込みません」という確認欄に押印する仕組み。結果的に地震保険のみの単独加入はない。この辺は複雑で、分かりにくい要因となっている。
 そして、加入率がいまひとつ伸び悩む背景には割高感と、地震の確率が低く、「自分のところには来ないのではないか」と漠然と感じる気持ちがあるのではないかと言われる。

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本文中記載外の参考資料
 地震保険のご案内(平成13年10月) 安田火災海上保険株式会社パンフレット
 地震保険制度について 社団法人 日本損害保険協会 業務企画部 2002予防時報208

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