主要98断層帯について

主要98断層帯とは

 主要98断層帯とはその活動が社会的、経済的に大きな影響を与えるとして拾い出された一定の基準を満たす一連の活断層群であり、文部科学省の「地震調査推進本部 地震調査委員会」によって過去の活動、将来の活動(発生確率)などの長期評価が発表されています。
 断層帯によっては一度の活動する区間が複数の区間に分かれているものがあるため、評価対象となる区間別の断層帯の数は主要98要断層帯の数より5割程度増えています。
 
 その後、12の断層帯が追加されて現在は110の断層帯が評価対象となっています。

 長期評価の見方・考え方
 
@ 主要98活断層帯で大地震が発生す可能性が大きい。
 
 主要98断層帯は地質学的には数十万年に亘って直下型地震を発生させてきた日本の主要な活断層で構成されています。最近の例でも平成7年の兵庫県南部地震や平成16年の新潟県中越地震は主要98断層帯に関連して発生した地震であるとされています。

A 不明と評価された断層帯のなかには発生の確率が高い断層帯が含まれている可能性がある。

 主要98活断層帯の中にはこれまでの調査研究では活動履歴が把握できずに発生確率が不明であるとされている断層帯が多数あります。発生確率が不明であることは発生確率が低いことを意味するものではありません。

B 主要98断層に関連しない箇所でも大地震が発生する可能性がある。

 地震調査推進本部(地震・防災研究課作成資料)によれば最近の206年間に発生した死者50人以上の被害地震のうち主要98断層に関連する地震は48%であるとしています。統計的にいえば将来の被害地震においても半部程度は主要98断層帯以外で発生することになると思われます。
 
C 発生確率上位の断層帯には発生が迫っているものが含まれる可能性が大きい。

 平成7年に発生した兵庫県南部地震における発生確率は最大値が8%であったのに対して、98断層帯のなかには8%を越える断層帯が7つあります。

D 地震の発生が迫っているといってもここ数十年以内に発生するとは限らない。

 活断層の発生確率は数万年間に亘る断層帯の活動の履歴を調べることによって算出されています。活断層の活動間隔は私たちが生活で通常認識している時間を遥かに越えており、私たちが問題と考える数十年程度の間に発生するかどうかは分かりません。それでも、いつ活動しても不思議でない活断層がいくつもあるというのが現実です。

長期評価の見方・考え方の基本

 ある1つの断層帯を対象として考えると発生確率が高いからといっても数十年〜百年程度の間に大地震が発生するかどうかは明瞭ではありません。明瞭でないことを強調するならば対処方法はなく、地震調査研究の成果を生かすことができません。
 しかし、明治以降においても活断層が動くことによって生じた濃尾地震、北丹後地震、鳥取地震、三河地震、福井地震、兵庫県南部地震などの地震がいくつもあり大被害が生じています。統計的な視点に立てば近い将来、主要98断層帯のどこかで大きな地震が発生することは間違いのないことです。
 そうであるなら発生確率の高い断層帯はいつ地震が発生してもおかしくないという認識とそれに対する対応が必要になります。