第四部 あなたの防災対策

 4.5 マンションの耐震改修

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 耐震改修の検討が必要なマンション
 耐震診断
 簡易な耐震診断の例(日本建築学会)
 耐震改修と管理組合

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【耐震改修の検討が必要なマンション】

 次に示すような条件に該当するような中低層鉄筋コンクリート造りマンションは耐震改修が必要な場合がありますので、耐震診断を受けることをお勧めします。
@ 建築時期:昭和56年(1981)に建築基準法が改正される以前に建てられた建物。特に昭和46年(1971)以前に建てられた建物。
 昭和25年(1950)に制定された建築基準法は、1968年の十勝沖地震や1978年の宮城県沖地震の教訓を踏まえ、昭和46年に鉄筋コンクリート造りの構造規定が強化され、昭和56年には大改正されて現在に至っています。建築基準法は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めたものであり、既存の建物には適用されないので、改正前の建築基準法の基で建てられた建物は耐震性能が劣っている場合が多いことに注意する必要があります。
A 地盤:盛土、軟弱地盤や液状化しやすい地盤。
 建物の基礎である地盤に問題があるとそれに応じた対策が必要です。建築時に十分な対策が採用れているでしょうか。
B 形態:耐震性能を低下させるような形態の建物。
 ピロティ形式の建物、耐震壁の少ない建物、壁が多くても非構造壁ばかりの建物、壁の配置が偏っている建物、高さ方向に構造が大きく変化している建物、形状の複雑な建物などは耐震性能が劣っている場合が多い。

【耐震診断】 

 自治体によってはマンションの耐震診断に補助制度がありますので確認してください。(「第四部 4.3 耐震診断の自治体による補助」では一部の自治体を拾い出していますので参照してください。)
 マンションの耐震診断は、通常、予備診断(一次診断)と本診断(二次診断、三次診断)に分かれています。予備診断で概略の耐震性を判定し、本診断が必要かどうかを判断します。本診断は耐震改修の方法や改修費用の概算を出すための診断です。本診断結果に基づいていくつかの改修試案を策定し、専門家と管理組合が耐震補強の効果の程度、優先順位、改修費用など具体的な検討に入ることになります。

【簡易な耐震診断の例(日本建築学会)】

我が家の耐震 −RC造編− 日本建築学会 より

 本診断フローは簡略な耐震診断を行うためのものです。診断は地形,建物形状,経年劣化を調べ,フローに従って行ってください。その結果は「安全と思われます」,「診断をおすすめします」,「診断が必要です」の3つに分類されます。
「診断」を行う必要のあるものは専門家に相談・依頼して下さい。

流れ図
構造形式などの分類図

 詳細については、我が家の耐震 −木造編−(日本建築学会)を参照してください。日本建築学会 わが家の耐震にリンクします。

【耐震改修と管理組合】

 兵庫県南部地震では、建て替えか修復かをめぐって話し合いで解決できず、「建物の区分所有等に関する法律」(略称:区分所有法)に基づいて裁判でけりをつけるような、マンション特有の問題が浮き彫りになりました。マンションは専有部分と共有部分で構成されいるため、修理や建て替えは個人の意思だけではできないこと、資金能力の個人差が大きいことなどに起因しています。地震に遭遇しなくても、マンションを維持するためには長期修繕計画に従い、ある周期で大規模修繕が必要です。大規模修繕に伴い高額の一時金を徴収することは支払いができる人とできない人の溝を深め、兵庫県南部地震の際と同種の問題が発生することになります。マンションの耐震改修は大規模修繕と同時に実施するのが有利でしょうが、資金計画がうまくいかないと実施できない難しさがあります。マンションは、以上のような問題を常に抱えており、日ごろの管理組合の活動とこれに伴う住人の共有意識の形成が重要になります。管理会社にマンションの管理を委託しているだけでは管理組合責任が果たせません。管理組合の活発な活動を期待しています。
 兵庫県南部地震において被災マンションの復旧・耐震補強に関わった西澤英和氏(京都大学講師)は、『・・・ 直下型地震に耐えるために、実質的に建物の強度を向上させるのは良いとしても、そのためには、建設コストがべらぼうに高くなるのではないか?あるいは、すでに建っている建物を激震に耐えられるようにするには莫大な経費が要るのではないか?そのように懸念される人も多いかもしれない。 ・・・ 結論からいうと、費用はわずか数パーセント、せいぜい5%程度のアップに過ぎない。 ・・・』、また『・・・ いずれにせよ、被害を受けてからの対応コストに比べると、被害前の構造対策費は比較にならないほどわずかである。危機管理の原則は何事も「転ばぬ先の杖」である。これはマンションの激震時における危機管理についても言える。』と述べています。
 管理組合としては耐震補強に対する住人の共有意識を形成するとともに、耐震診断と耐震診断結果に基づき、専門家と相談しながら耐震補強の効果の程度、優先順位、改修費用など具体的な検討に入る努力が必要であり、職業についている人にとっては大きな重荷となります。管理組合は本来建築物に対しては素人であるのが普通ですが、マンションの住人中には建築の専門家や建築と関連した職業の人達がいる可能性が大きく、有益な情報が得られるものと思われます。マンションは集合住宅という性質からして、マンションを快適で安全な空間として維持・管理していくためには管理組合の努力が管理組合の宿命であると割り切る必要があると思われます。
 

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本文記載外参考資料
 マンション -安全と保全のために- 小林一輔・藤木良明著 岩波新書 (2000/2)
 地震とマンション 西澤英和/円満字洋介著 ちくま新書 (2000/12)
 コンクリートが危ない 小林一輔著 岩波新書 (1999/5)
 倒壊 -大震災で住宅ローンはどうなったか- 島本慈子著 筑摩書房 (1998/12)

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