ミルフォードサウンドはニュージーランドの西海岸にある。ここはいわゆるフィヨルドで氷河で削られて出来た峡谷である。地名にあるサウンド(sound)は入江という意味であるがこれは間違った名前の付け方らしい。ミルフォードサウンドへ行くにはクイーズタウンを出発点とするのが一般的。 クイーズタウンから西に抜けるルートがあれば最短なのだがあいにくそれはない。そこで大回りしてミルフォードサウンドまで行くことになる。クイーズタウンから300km。バスで片道ざっと5時間の行程。


朝7時。どんよりした今にも降り出しそうな雲の下をバスはワカティブ湖を右に見ながらクイーズタウンを出発。(写真はワカティブ湖の朝)ワカティブ湖の東岸を南に下りワカティブ湖に別れを告げてさらに南下。このあたりはニュージーランドの最南端に近いところ。1時間ほど行くと今度は西に向かいしばらく走った後北上する。
途中ミラー湖に立ち寄る。名前の由来は湖面が鏡のようになると言うことから来ている。写真は「Mirrow Lake」と上下逆さに看板に書いてある。湖に映るとまともに読めるという仕掛けなのだが残念ながらこの日はしとしとの雨と風があって鏡のようにはみえなかった。

さらに北上すると・・・峠にさしかかる。両側の急峻な山が眼前に迫ってくる。このあたりも氷河で削られて出来た谷なのだろうか。昨日からの寒さと雨が山の上の方では雪になっていて、峠の頂上は雪景色だった。現地のガイドさんは今年初めての雪だと興奮していたが、こちらとしてはこの天気ではミルフォードサウンドの遊覧船は最悪になるかも知れないと暗い気持ちだった。ところが峠を越えて下りにはいると、空に所々青いものが見え始めた。ひょっとすると天気は回復するかも知れないとかすかな期待を載せてバスは西に進む。

峠を下り終えるとそこはミルフォードサウンドなのだが、下るにつれて青空が広がる。そして海岸が見える頃にはすっかりいい天気になってしまった。全く信じられないような劇的な変わり様だった。

いよいよ乗船。ここから1時間半の遊覧クルーズが始まる。

昨日の雨で細い滝が両岸の山の上から流れ落ちている。雨のあとにだけ出来るんだそうな。数百メートルもある山の上から幾重にも流れが見える。いつも流れている太い滝ももちろん見える。両方見られるのはラッキーなんですよとのガイドさんの声。「そうだろう、そうだろう」。この中によほど日頃の行いのいい人がいたのだろう。ご機嫌で船首に出る。やや暖かい風が顔に心地よい。遠くに虹が見える。ニュージーランドに来て虹を見たのは3回目位になろうか。この後オークランドでも虹を見た。外海に近ずくにつれて峡谷の幅が広くなる。今回の旅の最大の見所はここミルフォードサウンドと思っていたので、天気に恵まれ予想以上の眺めにまんぞく、満足

船は海の入り口でUターン。落差が100mもあろうかと思われる滝に船が近づくとしぶきが全身にかかってくる。このあたりが潮時かと思い船室に入る。船長室を見たら、船長が結構暇そうに操蛇管を握っている。日本人のガイドと脇見をしながら話している。写真を撮ろうとしたらこちらを向いて愛想を振りまく。思わず前を見て操船してと言いたくなる。時のたつのが早く1時間半がさほど長く感じらない。

無事クルーズも終了。帰りのバスは満足感と疲れでうとうとの5時間でした。
晴れてさえくれれば一見の価値あるところ。オススメです。

2002.9.23号 アエラの最終ページに、世界の遺産としてミルフォードサウンドの記事が載っています。これによると上の写真にあるとんがった山はマイターピーク(1692m)だそうです。
なかなかいい写真が出ています。
年間降水量7000mmといいますから、晴れた日にたまたまぶつかったのはかなり運が良かったのでしょう。