ヒトラー 〜最後の12日間〜
ヒトラーの相反する二面的な性格を見せたがために主張したいポイントが希薄に
なってしまった映画だと思う。
狂気的は面を主に描けばもう少しすっきりしたのでは無いだろうか。
ヒトラーといえば冷酷無比な性格の持ち主というのが通り相場になっているが、
この映画ではそれは総統としてのヒトラーの姿でありそうした立場を離れたときには
優しい顔も持った人間であったと言いたいらしい。
時々垣間見せる優しさなるものが映画全体を弱めている印象がする。
優しさを見せるシーンと非情さを前面に出すシーンとが噛み合わないのはある
意味で当然なのだがその二面性がうまく交錯しない。
(それに共感できないこちらがダメなのか)
二面的な性格を表現し観る人に納得させるのはかなり難しそう。
監督はヒトラーその人を描きたかったのかヒトラーの秘書を通じて見えたヒトラーを
描きたかったのかが曖昧。
秘書がヒトラーに惹かれ行動を共にしようという説得力のある表現も弱い。
そこまで思い詰めるだけのカリスマ性が破綻を来したヒトラーには見あたらない。
単に老いぼれの気違いジジイに見えた。
追いつめられたナチ将校達が酒におぼれるというのは話としては分かるのだが、
ヒトラーが側にいてそういう騒ぎを咎めないというのも全体の流れからすると
違和感がある。
戦闘シーンも迫力を欠くし、期待したほどの出来ではなかった。
話としてはヒトラーが自殺した後の方がやや緊張感があってまあいいかという感じ。
ネオナチっぽい映画というわけでは無いんでしょうな。
(☆☆☆)
(2006.2.14)
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