嫌われ松子の一生
壮絶な映画でかつ力を感じる映画でもありました。
よく言えばコミカル、言い方を変えるとオチャラケた映画かなという思いで
初めの方は見ていたけど、どんどんシリアスになる展開に引き込まれた。
階段を一つ踏み間違えて自分の思うようにならなくなる人生。
求めつつも理解し合えない人と人の関係。
話はどれが縦糸でどれが横糸かよく分からないけれど、ともかくこんがら
かったまま見る人を引きつける魅力がある。
他人からは不幸な人生としか見えなくても、実は幸せとは言えないまでも
納得の人生ってあるよというところだろうか。
中谷美紀がかなりいい。
難点を言えば最後の締めがどうも。
冗長で、説明的。
教え子との関係であれだけ話を盛り上げたのだからその余韻を消さずに
エンディングに持っていけなかったのか。
最後の犯人の説明なんかとってつけた感じ。
それでもなかなか面白い映画である。
挿入歌やCGなどを使った映像に関心が行きがちだが筋立てもしっかり
している。
見に行った時間帯の関係もあるのだろうが、観客は若い人が多かった。
主人公の松子は団塊の世代。
そうした年代の人に見て欲しい映画のような気がする。
「Always 三丁目の夕日」は昭和30年代をきれい事に描きすぎていたが、
この映画は松子という主人公を素材として昭和という時代の人生に
切り込んでいく気迫が感じられた。
(☆☆☆☆)
(2006.6.9)
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