蝶の舌 

実はこの映画、予備知識がほとんど無いまま、新聞の
映画評論で評判だったことを頼りに映画館に入った。
話の筋はもちろんどこの国で制作したのかも知らぬまま。
最初イタリア映画かと思ったら話はスペイン。第二次
大戦の前、スペイン内戦を背景とした話。
ゆっくりした話の進行と印象派の絵を彷彿させるカメラ
ワークにいい気持ちで見ていたら、とんでもなくショッキング
なエンディング。今まで見た映画でも極めて印象にもこる
ラストシーンの 映画の一つだ。
終わったときは、なんというか「えっ」という感じ。テロップが
映し出されている時に次第に怒りでもない、諦めでも
ない言葉にならない感動がこみ上げてきた。しばらく席を
立てなかった。

主人公の少年が校長先生に罵声を浴びせる。石を投げ
ようと追いかける。そして罵声が「蝶に舌!」になった時、
少年の心の中で何が起きたのか。監督は何をメッセージ
として残したかったのか。
少年は石を投げなかった。「蝶の舌!」と叫んだあたりから
画面はスローモーションになる。一緒に追いかけている
周りの子供達が少年を追い越していく。少年は追いかけ
るのを止めたように見えた。「蝶の舌」の意味するところを
理解したからと思ったのだが。