グッバイ・ジョー 

インターネットでこの映画について調べていたら未公開映画という
記事があった。ハリウッド的ではないと思いつつ見ていたがさも
ありなんという気はする。

飲んだくれのオヤジを持つ14才だか15才の少年の話。
オヤジは飲んだくれで、DVをふるう。おまけにあちこちに借金を
作っている。 だめオヤジの典型ときたもんだ。
息子もバイトに忙しく、学校はいい加減にしか行かない、万引きの
常習犯。だめを絵に描いたような家族。
この息子はキレてしまっているかと言えばそうではない。オヤジは
嫌いだが母親と兄貴には家族としての愛情を感じている。

オヤジに粉みじんにされた母親が大事にしていたレコードを買って
やろうとし、オヤジの借金を払おうと盗みに入りそれがばれて少年
院送りになる。
ラストは泣かせる映画だが、話の設定はハリウッド的ではない。

アメリカの繁栄の裏側ではなく側面を見ているような映画だ。
それほどまでにアメリカは富めるものに住みやすく、貧しいものには
住み難い国になってしまったのかと思わせるオヤジの最後のセリフには
少し考えてしまう。

アメリカンドリームという言葉があるが、あれは貧富の差が激しいから
こそ生まれる一種貧しさを美化したものではないのか。

劇場に公開されないこうした映画があるんですね。

ところで、主役の少年があのイアン・ソープに似ていたと思ったのだけれど。

  (2002.8.24)