ビューティフルマインド
今年のアカデミー賞作品賞他を受賞した作品。
ということとおおよそのあらすじは予備知識としてインプットされていた。
最近アカデミー賞を取るにはハンディキャップを持った主人公を持ってくる
というのが定石になっているという記事を見たことがある。
すぐにタイトルを思い出さないが、「フォレストガンプ」とかの流れになるの
だろう。
この映画はそこまでアメリカ人の慈善主義というか偽善主義というかに
訴える映画ではないだろうと思ったのだがやはりそういった類の映画だと
思わざるを得ない。
実話に基ずくという。精神的な障害を持つ数学者の話。
(昨今、精神異常といわずに別の言い回しをするんだよね。何というの
だったかな)
作りとしては面白いところがある。主人公が見る幻覚を最初は観客に
教えずに観客もその幻覚を現実と思わせるあたりはなかなかなものだ。
しかしこの映画が訴えたいところがいまいち弱い気がした。
ラストシーンがメインテーマだとしたら、妻の献身的な愛が主人公を
救ったと言いたいのだろうが表現が中途半端な気がした。
幻覚の表現にウエートが行ってしまっている感じ。
妻の苦悩とそれに耐えながら彼を救っていく過程をもう少し丁寧に描くべき
だったと思う。
類い希な能力を持つ数学者なんだそうだが、彼の数学理論がさっぱり
説明されない。 経済分野とか何とかに広く適用されているという説明
だけでは理解しようがない。数学理論なんて所詮素人には解りっこ
ないがそこのところをもう少し何とかして欲しいと思うのは無い物ねだり
だろうか。それにしても、彼の書いた論文を教授はぱらぱらと見て理解
してしまうなんて、なんと凄いことかと恐れ入った。その論文が新しい理論
だとすれば 教授の反応にもっと工夫があってしかるべき。
窓ガラスや黒板に数式を所狭しと書き殴っているが、優秀な数学者だ
というものがいまいち見ている方に伝わってこない。
全体的に数学者としての表現には不満が多い。
(2002.9.15)
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