キャスト・アウェイ 

これって”Fedex”のCM映画ではないのか。
冒頭からお終いまで、ところどころではなく、そこいら中に”Fedex”が
登場する。

それはさておくとして、航空機事故で孤島に打ち上げられた主人公
トム・ハンクスがいかにして5年後に生還するかのサバイバルを演ずる。
何を食っていたかは深く詮索してはいけない。映画の流れに任せて
見ていた方が気が楽。

この映画には2つのテーマがあったように思うのだが。
一つは”Fedex”という運輸事業に従事するトム・ハンクスが、遭難
前は時間と勝負して生きていたのが突然時間感覚が無くなりそうな
絶海の孤島に放り出され、彼が何を感ずるかということ。
そしてもう一つは恋人との関係が5年間という空白の時間によって
どうなるかだ。

後者のテーマについては多くを語っているのだが、前者のテーマについては
nothingです。自分には少なくともとそう思えた。というのは言い過ぎか。
監督はこの問題をうまく処理し切れていなかったのかも知れない。
洞窟の壁に"Jan."とか”Aug”とか時間の経過を示す表現があった

にはあった。でもそれだけなんだよね。主人公の時間に対する意識変化が
伺い知れるシーンはなかったな。

このあたりがアメリカ映画らしさといえなくもない。彼と彼女の話には
深入りするが、心の襞の部分には触れたくないのか気がつかないのか
ともかく触れない映画が多い。

舞台の1/3はメンフィス。メンフィスといえばプレスリーです。
なぜメンフィスだったのかは知らない。”Fedex”発祥の地かな。

ラストシーンでトム・ハンクスがカメラに向かって”あなたならどんな選択を
するか”というような顔をしているのが印象的だった。
あそこらあたりに前者のテーマに対する監督の考えがちらりと出ているのかも
知れませんね。

孤島に打ち上げられたときのトム・ハンクスのおなかはぶよぶよだったが
サバイバル生活が本格化してくると体が締まって来たので見ていてほっと
した。体重をかなり増やしたのかそれとも絞ったのかどちらなんだろうと余計
なことを考えたりした。

cast awayってどんな意味かと辞書で調べたら、『難破して孤島の浜辺に
打ち上げられる』とあった。まさにその通りの映画。

(2002.10.21)