たそがれ清兵衛
映画に対する観客の反応を見る方法の一つとして、映画のEND
マークが出てから観客がどういう行動に出たかである程度判断できる。
ENDマークが出るやいなや、スタッフの名前のテロップが出ているうちに
観客が立ち上がるようなのは最悪。スタッフの名前がある程度出てから
席を立つのは普通のパターン。場内が明るくなってから席を立つのは
観客がかなり満足した証拠。この3つのパターンのうちこの映画は3番
目のものだった。
週刊誌に「中高年がウルウルする映画」と書いてあったが、中高年だけ
かどうか分からないがかなりウルウルするねこの映画は。
例によって予備知識は余り持たずに見た。原作が藤沢周平ということ
ぐらいです、知っていたのは。山田洋二監督というのは映画が終わって
知ったこと。(途中から見たのでタイトルを見ていない)へーと思ったね。
舞台は、私の故郷のあたり。なまりがふんだんにあって、気になるという
人も多いのではと思いながら見ていたが、真田広之のセリフは聞いて
いて割合良かった。地元の人間でないと分からないような方言があって
苦笑したりしたが。
時代は幕末だが、大きな組織の中の人間ということで今に通じるものが
ある。色々せつなくなる場面があったりして。
一番凄いと思ったのは殺陣だ。久しぶりに見た時代劇ということもあろう
がいゆるチャンバラではなくしっかりした見応えのある殺陣だった。こんな
印象は黒沢映画以来かもしれない。それと家の中のシーンは明かりを
極力抑えた暗いライティングが良かった。行灯の光だけならこんなものだ
ろうとは思わせるような照明だ。あと、カメラのアングルも工夫している
場面がいくつかあったりした。
テレビで見るような何じゃこれはという時代劇ではなくなるほどと思わせる
ものがあった。
ナレーションが岸恵子だというのも最後に分かったことだが、どこかで聞き
覚えがあるのだが誰かは最後まで思い出せなかった。
1800円、2時間は十分元の取れる映画だった。
日本映画を久々に見直した。
(2002.11.20)
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