CHICAGO

エンターテイメントな映画としては実におもしろい。
これぞアメリカはハリウッド映画と言う感じ。

ミュージカルの舞台をベースにし、これにシネマ場面をうまく組み
合わせてある。最初、この手法が頭で理解できるまで少し時間を
要したが、それが理解できてしまうと、画面切り替えの小気味よさが
気持ちいい。
オープニングの踊りが圧巻。これで見る人を一気に引きずり込んで
しまう。
筋立てがおもしろい。殺人を犯した女二人が、辣腕弁護士の画策で
無罪になり舞台で成功するという話がまたいかにもアメリカ的。

主演のリチャード・ギアとレーニー・ゼルウィガーはそれなりに頑張
ってはいるが、助演のキャサリン・ゼタ・ジョーンズは凄い。踊りと
あの鋭い表情がいい。アカデミー賞を受賞したのもうなずける。

それにしても舞台は1920年代なんだが、今のアメリカのショー
ビジネス界やTVの舞台裏で実際に起こりそうな話だ。
人の注目を集められるなら、なんでもありの世界。
It is that juzz (だったかな)を戸田奈津子は「なんでもあり」と訳して
いたが、それがスラングとして
一般的な訳なのか、戸田奈津子の
意訳かは不明だがけだし名訳と思った。

ジュリー・アンドリュースの歌唱力とアットホームな筋立ての「サウンド・
オブ・ミュージック」、ジョージ・チャキリスなど圧倒的なダンスシーンの
「ウェスト・サイド・ストーリー」などと並ぶエッポクメーキングなミュージ
カルの一つにあげて良い作品だろう。

猥雑さ、JAZZのリズム、スピード感。こういった表現力に関しては
アメリカ映画はやっぱりうまい。
ただし、この手の映画が好きかどうかは個人差が大きいと思う。

じきに「シカゴ」の日本公演が始まるが、ステージが映画以上に
おもしろいのだろうかと思ってしまうほどの出来だ。

(2003.4.28)