OUT
これは恐ろしくもまたあっけらかんとした映画です。
恐ろしいというのは、もちろん死体を切り刻むシーンの迫真的な
画面。思わず目をそらしたくなる程なのだが、それでいてちょっと
したところにほっとさせるようなコミカルなシチュエーションを組み
込んであるところなど心憎い。
もう一つの恐ろしさは、これが今の日本だという閉塞感丸出しの
家族のありよう。
リストラ親父にぐーたら息子、寝たきり老人、ギャンブル漬け亭主。
女4人の俳優たちがそれぞれ実にいい雰囲気を出している。
室井滋、倍賞美津子、原田美枝子、西田尚美。
中でも原田美枝子は出色の演技。こういう役は実にうまい。
死体の処理を通じて、女どもが仲間意識を持ちつつ、なぜか生き
生きして行くというのも空恐ろしいところがある。
根っこの腐ったような今の日本を変える事が出来るのは、若者や
おばさんパワーそれに定年後でしがらみから解放されたはずの
おじさん達なのだが、おやじや若者は当てにならないからは結局
こんなおばさん達に期待するしかなかろうか。
それにしてもおばさんのパワーにはかなわないなー。
恐れ入りました。
(2003.5.13)
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