めぐりあう時間たち

原題は「hours」 それが「めぐりあう時間たち」としたのは的を
射ているような射ないような。

この映画はスルメみたいなもので、噛めば噛んだだけ味が出て
くる気はする。そうなんだけれど、テーマは今更という感じだ。
ばっさりと切ると 愛の不条理 てやつだ。

こういうのは昔、ベルイマンやフェリーニがいろいろ取り上げた
テーマだったよね。そこで話を3重構造のようにして目新しさを
装っているとしか思えない。

別に「愛する」ことでなくてもいいんでしょうに。仕事とか金、或い
はTVでもことによれば携帯電話でも。自分の思い入れの強い
ものなら何でも良いんです。仕事の不条理より携帯電話の
不条理の方が今風かも知れません。

見始めたときは「ビューティフル・マインド」の焼き直しかと思った
がそうではなかった。大体が暗っぽい映画なのに、それに輪を
かけたように暗い音楽はいただけません。

今時のアメリカ映画でもこういうのを取り上げるのかと言うことだ
けは目新しかった。

(2003.5.20)