グッバイレーニン
これは喜劇映画か、単なるホームドラマか。
笑わせてほろっとさせるようなというCMのコピーに騙されて見た私が
バカでござんした。映画のジャンルはどうでもいいのだ、面白ければ。
ドイツ人が笑いの映画を作ろうとするとこんなものになるんですかね。
半端な映画だよ。
筋立ては面白いと思う。東西に分かれていた頃の東ドイツ。
東ドイツの体制の中で頑張っていたおっかさんが突然ぶっ倒れた。
8ヶ月だか意識が戻らない。その間に東西の壁が壊れ、東が西に
飲み込まれてしまう。意識が戻ったときはそんな状態になってしまった
のだが、強い刺激を与えると病気にさわり命に関わると医師に言明される。
息子はその言葉を忠実に守るために、東ドイツの体制があたかも継続
しているがごとく見せるために獅子奮迅の働きをする。というお話。
こんな話だからいろんな料理の仕方がある。で、喜劇にもならない、
人情話としても弱い。どっちつかずの映画になってしまっている。
喜劇にするんなら息子がくり広げることでどんちゃん騒ぎにしておもしろ
おかしく話を展開すればいい。もっと言うなら、実はおっかさんは心底は
体制派なんかではなかった。資本主義が大好きでとか、ベルリンの壁が
壊れたのをホントは知っていた。息子に隠れてTVを見ているとか、おい
もっと知恵を出せよと言いたくなる。
人情話を強調したいのなら、おとっつあんの事をもっとちゃんと描けと言いたいね。
終わりの方に申し訳程度にちょこっと出てきて、夫婦ご対面のシーンがあるの
だがそれでどうなったのかのご報告は一切なしじゃ観客はつんぼさじきってもんだ。
(あ、つんぼって言うのは差別用語だっけ)
一時間もお会いしていたんなら
何やってたか教えてくれたっていいじゃん。けち。
東ドイツの体制を揶揄しながらなおかつ西の物欲にまみれた資本主義を
せせら笑うというのが一番真っ当な作り方かなー。
(2004.4.7)
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