ラクダの涙
この手の映画は批評しにくい。特に、良くなかったという評価は。
評判が良かったので見に行った甲斐もなくというのが率直な印象。
モンゴルのラクダ母子の話。白い子ラクダを生んだ母が子供の面倒を
一向に見ない。そんなときの切り札は母ラクダに馬頭琴を聞かせること
らしい。この楽器を聞いた母ラクダは目から涙を流し、子供に乳を飲ま
せるという、母子の情愛を描いたドキュメンタリー映画。
話としては感動を与えうるものではある。しかし映画としてみた場合
できのいい映画かというとそうは思えない。
監督はモンゴルの女性。習作らしい。どういうことでこんな映画になった
のかそこが知りたい。
察するに、もともとモンゴルの人たちの生活ぶりをドキュメントにしたかった
のではなかったか。そこにたまたま白い子ラクダが生まれて、しかも母の
愛情が得られないときたもんだ。これ幸いと話をそっちに持っていったという
気がする。映画全体がラストの母が母乳を飲ませるというシーンに収斂
していっていない。途中から慌ててそんな話にしたように見える。
映画学校の卒業作品としてはそれでも許されるが、一般公開する映画と
しては未熟さが目立つ作品だ。
(2004.9.9)
|