2001年宇宙の旅
ご存じスタンリー・キューブリックが監督した伝説的と言っていいSF
映画だ。久しぶりに見たがこれが1968年制作とは信じられないほど
今でも新鮮さを失っていない。宇宙船の姿、内部、太陽系空間。
どれをとっても数年前に作られた映画と言えるくらいの完成度だ。
この映画を初めて見た時(あれはいつだったろうか)、軽く考えていた
ヨハンシュトラウスのウイーン音楽を再認識させられたのを思い出す。
ウインナーワルツなんてと思っていたのだが、この映画の壮大な宇宙
空間を表現するのになんとフィットしていたことか。
ウイーンを旅し彼の地でウインナーワルツを聴いたときこの映画を思い
出した。
難解なことでも有名な映画でもある。モノリスとかいう石版が何を意味
しているか。ちなみにインターネットで調べたらいろいろな解釈が出ていました。
原三部作を読むとこのあたりは分かるようだが、映画を見ただけでは理解
するのは難しい。モノリスは都合3回出てくる。
これが出るたびに(よく言えば)文明の飛躍が展開する。
一回目は人の祖先である猿人類が道具を初めて使うとき。これは
誰でも理解出来るところ。2回目から段々に解釈が分かれる。
2回目は月面で現代人がモノリスを発見する。以下自分の勝手な解釈を
書く。2回目の出現でコンピュータが感情を持つ事になる。その結果木星
探査旅行の最中に人間とコンピュータとの間に大きな確執が発生する。
3回目は宇宙飛行士の目前に出現する。ここの解釈が一番難しい。
私的な解釈は、これによって人間が時空を超越したのだと考えたい。
一瞬のうちに年老いた飛行士が、次に初期生命体のごとき姿になり、地球を
眺めているというのは時間と空間を超越したと解釈していいのではないか。
とまあ勝手な事を見終わった後で考えたのだ。
難解であることには違いはないが、それを考えることの楽しさや、なんと
言っても宇宙船と宇宙空間の描写は限りなく美しい。
これを見ているだけで十分楽しい。そして音楽も。
それにしてもである。今から35年も前、まだコンピュータが世間的に
使われだしてまもなくの頃にコンピュータがこんなふうになると想像した
その類い希なる想像力には脱帽だ。
ともかく凄い映画である。
(2004.2.20)
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