特殊教育関係教職員の専門性をどう考えるか −必要な資質とは−


<「免許」保有の有無と「専門性」 〜新卒編〜>

障害のある子どもの保護者の立場から言えば、自分の子どもの障害について
詳しい知識を持ち、同じような子どもの教育に関して豊富な経験を持つ教師に
担任して欲しいと思うのは当然である。
高学歴の今日「先生のご専門は?」と問う保護者がいておかしくない。

ここでは「経験」で差はない新卒の教師A,B2人が採用されたと想定してみたい。
担任に決まったA先生が、特殊教育教諭免許状を有していると知った場合、
「大学で専門の勉強をしてきた先生だそうよ」と、保護者はまずは安心する。
そうでないB先生に対しては、「本人の意志ではなく、仕方なく特殊教育にきたのね」と、
がっかりされかねない。実際、B先生にとって、この採用人事が希望通りではなく、
「特殊教育現場に回された」のだとしよう。問題は、その後である。

B先生は現実を受け止め、ここに採用された以上、目の前にいる障害のある子どもを
理解しようと、障害や指導法についても一生懸命勉強し、子どもを大切にした
日々の教育活動に誠心誠意取り組んだ。
ところが、大学で専門の勉強をしてきたはずのA先生は・・・。
ほどなくして、子どもや保護者、さらに同僚(管理職?)の評価が下されることになる。

「専門性を有している」といえる最低条件は、ある分野に対する知識と理解が
あるということであろう。専門機関で時間と労力をかけて単位を取得し、
知識と理解がある一定のレベルに達していると認定された結果、「免許」が授与される。
特殊教育にあてはめれば、障害のある児童生徒の特性に対する知識と理解を得た証が
「特殊教育教諭免許状」なのである。「免許を持っている」ということは、
特殊教育に対して、それだけの「興味・関心」、「熱意」があったとみなすことができる。
そのように、「免許」保有は第三者が客観的な評価を下す一つの項目となりうるが、
実際の現場での「適性」とイコールではない。

「免許」のあるA先生が、障害に対する知識は豊富でも、子どもの気持ちを無視するような
言動を取り、職場のチームワークを乱し、保護者ともぎくしゃくするようでは
「免許があるからといって、あれじゃ現場で通用しないわよ。」と、「免許」の価値は地に落ちる。
 「専門性」とは、より深く子どもを理解しようとしているか、
よりよい指導や援助をしたいという熱意を持って教育活動をしているかで
判断されるべきものであろう。

<病弱教育に携わる教員に必要な資質>


病弱教育のプロ性 (文科省 横田調査官講演より)
・病気についての基礎的な知識と指導上の配慮力
・教科等の指導力
・子どもや保護者の心をつかむ力
・医療との連携の力


<上記をもとに私的解釈したもの>
・小児保健医学の基礎的知識と新しい情報を得る情報検索及び活用能力
・普通校普通学級で通用する教科についての指導力
(普通校教員との情報交換ルートを持っているかも重要)
・カウンセリング能力 
・医療スタッフとのコラボレーションを成立させるコーディネート能力


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