オーリングを補助としたコスギ歯科における歯科用金属アレルギーの診断
金属アレルギーは多様な症状を呈する可能性がある。頭痛、耳鳴り、顔面の腫れ、味覚障害、舌痛、うつ病的症状、内臓の原因不明の痛み、倦怠感、手足の痺れ、体表、体内の痒み等。歯科用金属によるアレルギーかどうかは、歯科医院での治療直後に症状があらわれた時その疑いは高くなるが、そうでない場合つぎの検査項目を挙げる。
1.
20種類の金属イオン等の試薬によるB-D-O-T(OMURA Test1990~)
Pd,Au,Ag,Cu,Pt,Zn,Fe,Sn,Ni,Al,Co,Mn,Mo,In,Ir,Cr3価,Cr6価,Hg,Ti,レジンモノマー
2.
パッチテスト(発汗のため6月〜9月は不確実)
3.
DMAメーター口腔内金属溶出度テスト(赤反応、activeであれば変換必要、黄色、metastableであればパッチテスト等と照合する)
4.
前歯にメタルボンドポーセレンクラウンなど高額の補綴物に該当する金属が混入してるかどうかをB-D-O-Tで調べることは難しい。なぜなら奥歯のメタルクラウンが反応する可能性があるからである。よって奥歯を処置した後B-D-O-Tをするか
蛍光X線分析装置を用いるのも有用である。この時0.2mgの削合粉が必要である。
DMAメーター ]線蛍光分析装置
以上の検査で異常がみつからなければすみやかに皮膚科、内科へ転院をお願いします。
治療において体内に蓄積したアレルギー源である金属を体外排出させることは容易ではない。排出薬の副作用を考慮するならば林原中国パセリが一番有効と思われるが他のハーブを追加する事もある。喫煙などの排出を阻害する環境を取り除きながら、体内に蓄積している金属をオーリング標本でB-D-O-Tによりcheckする。病状の改善は3ヶ月以上を要する。
考察
金属は口腔内へ溶出してイオン化しないと為害性は発揮しない。歯科用金属アレルギーが診断された時、どのような材質に交換するかにおいて、本質的にはハイグリッドセラミックがベストである。現在、距離の長いブリッジも強度的にも可能となった。しかし経済的なものを考慮するならば患者さんにあったものを見つければいいわけである。現在頻繁に使用されている金、パラジュウムには意外とアレルギーが多い。イオン化されにくい分だけイオン化すると為害性が高く体外へ排出されにくい。インプラントに使用されるチタンにも数%、レジンにもモノマーにたいしてアレルギーはおこる。アレルギー金属検索においてリンパ球幼若化試験というのがある。これはリンパ球を培養して金属イオンをくわえるテストであるが、多くが偽陽性になり判断がむずかしいと思われる。パッチテストにおいても濃度を濃くしすぎると感作の可能性もある。金やパラジウムは2,3日では反応が出ず1週間後に反応が出る事もあるので注意が必要である。さらには歯科用金属は多様化しており、ルテウム、タングステン、ガリウム、ロジウム、タンタル、レニウム、アンチモンなどといった金属が使用されており検査において困難をきわめている。重金属は歯科用金属だけではなくいろんな食物、体への装着物にも含まれる。例えばニッケルはピアス、ホック、ボタン、メガネ、楽器、筆記用具、ファンデーション。クロムは革靴、洗剤、刺青、インク、シェービングクリーム。コバルトは口紅、塗料、クレヨン等である。これからの歯科医は上記の点に注意して診療をおこなわなければならない。