口腔内環境が全身疾患を引き起こす
D.D.S Ph.D. 小杉 宗弘
@掌蹠膿疱症
T 掌蹠膿疱症(PPP)pustulosis palmaris et plantaris について
掌・足裏に痂皮や膿疱、赤い斑点、発赤、爪の病変等が生じる皮膚炎です。自己免疫疾患と考えられています。
【例】
治療前 治療後
U 掌蹠膿疱症の原因
a.
金属アレルギー
b.
口腔内細菌によるHSP(ヒートショックタンパク)すなわち歯周病及び慢性扁桃腺炎
c.
ウィルス感染
d.
その他
bについて・・・バクテリアから高等植物、高等動物にいたるまですべての生物は、体温より高い温度にさらされるとヒートショックタンパク(HSP)というタンパク質を合成する。歯周病菌がつくるHSPは分子量6万付近でhsp60ファミリーと呼ばれるが、人間のHSPもhsp60ファミリーである。よって非常にホモロジーが高いのでタンパク毒、歯周病菌HSPに対しての人間の抗体は、自分の作ったHSPを攻撃し始める自己免疫疾患となる。とくに手、足裏皮膚に多いT cell δγ型がこれを標的とする。
cについて・・・当院のPPP患者のほとんどが血液中のCMV、HSVに対する抗体価は有意的に高い。
V 治療について
a.
アレルギーの原因となる口腔内金属を他の金属(チタン等)またはハードレジン及びハイグリットセラミックにかえる
b.
歯周病、虫歯、歯根病巣の治療により歯周病菌の数を減らし、同時に人間hspとホモロジーの高い細菌hspの量を減らす
c.
DHAなどの抗ウィルス作用のあるサプリメントの投与
d.
体内に蓄積したアレルギーを引き起こす重金属を中国パセリにより体外に排出する
A 口腔内細菌が引き起こす妊娠トラブル
嫌気性菌のPrevotella intermediaは、妊娠時歯肉ポケットに滲出される卵胞ホルモンであるエストラジオールや、胎盤で作られるプロゲストロンを利用し、爆発的に増え、妊娠性歯肉炎を引き起こす。出血によりさまざまな歯周病菌が増加し、その内毒素が血流に入り早産や未熟児の原因となる。歯周ポケットにはプロスタグランディンなどの炎症性物質の増加も見られる。
☆ 今回はPrevotella intermedia菌の内毒素LPSとPorphyromonas gingivalis菌の内毒素LPSのReference Control Substancesを用いて、妊娠トラブル危険度を探る。