劇場 in ビデオその他

2003年度版

トップのページに戻る


上映作品


遠い空の向こうに ビューティフル・ガールズ
イルマーレ 父と子
わが心のジェニファー




我が心のジェニファ


ニューヨークに住むボブは、コマーシャルソングの作曲が主な仕事。
そんな彼に、映画音楽の仕事が舞い込み、カリフォルニアへ行く事になる。
そこで、昔好きだったジェニファに再会する。
その好きな気持ちを大切にしたいボブに、
ジェニファは、自分の生き方は違うからと告げる。
傷心のボブは、再びニューヨークに、子どもたちとの暮らしに戻る…。


というストーリーです。


不器用な男が年の功を活かし、かっての恋を実らせようとする。
余りの不器用さ、自分を見ているようで、苦笑してしまいました。
文字通り、マイ・ムービーと言える。(^^ゞ


何度もLPレコードのサントラ盤を聞いた後にようよう見られたので、
最初はミュージックテープじみて見え、
これではいかんと何度も頭を振りました。


台詞・撮り方は、素人っぽい印象を受けたところが少なくない。
主人公のボブ一人のセンチメンタルが行き渡って、
これで映画化は、ちょっと高すぎるなと、余計な事を思う。
でも、最後の最後で、やっと様になったかな?


覚悟していたほどは酷くありませんでした。
自分が作れば、主人公にもう少し華やかさが欲しく、
ティモシー・ハットン位の俳優を起用する。
で、主演者二人のメガネを変える。(笑)


しかし、音楽はそのまんま。
そう、音楽が一番生き生きとしている映画です。


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 


以下、エピソード。


20年以上見たいと祈念し続けた作品。
死ぬまでに見ることが出来た、
と深い安堵・感慨に浸っています


きわめてマイナーな作品で、超個人的思い入れの入ったこの作品は、
当HPの名物といいましょうか、重要な作品です。(^^ゞ
ネットで検索しても、3件ほどしか捕まらない代物です。
そんな作品でも、これまで、お二方伝言板に訪れ、カキコしていただけました。
その一人、のぶさんが、なくしたテープを発見し、
コピーを提供してくださいました。
お礼を申し上げます。


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 


以下、ネタバレ付超個人的返答


のぶさん、
「たそがれ清兵衛」の連想、頷けます。


結ばれるべき二人がいるけれど、共になかなか思い切れない。
そうして、成り行きで男がささやかながら思い切った態度に出る。
そして、男が諦念の淵に立つ。
そこに、女が出迎える。
こういう構図、ピッタシ合致していますね(^_^)v


藤沢周平さんの短編に似た雰囲気のものがあります。
それは、離縁された女が長い回り道を経て、ようやくかって好きだった人の家に至る物語で、

最後に
私が来るべきところはここだったんだ
というようなくだりがあるのです。

2003.7.13 記



父と子


あの「名もなく貧しく美しく」の続編です。
昭和42年の東宝35周年作品として製作されたもので、
脚本監督は、同じ松山善三さん。
小林桂樹扮するお父さんの息子を、北大路欣也さんが演じています。
個人的には、内藤洋子さん&原泉さんが出ていてうれしかった。(笑)


恋人にろうの父親を会わせると、彼女は怒り、彼の元を去りました。
荒れた息子の前に、ある日一人の男が現れる。
社長であるその男に見込まれ、職を得た息子は立ち直ります。
社長が、息子を家に誘う。
その前に現れたのは…
、というお話です。


内容は、思いの外突っ込んだものでした。
「それは、ちょっと」と言いたい台詞もあるし、
この人にその行動を取らせるのは腑に落ちないと思える場面もあって、
素直に、人に薦められない。


しかし、それならそれで、
この映画が作られた頃の人たちの考え方が表れているとも思える。
それならば、と今の時代ならではの作品を作る必要を感じます。
おそらく、次々と古くなる内容になるかもしれない。
でも、それならそれでいい。
時代が進むのだから。


聞こえない親を持つ子が主人公なので、
自分の子どもたちのことを思いながら見てしまいました。
これから先、そう楽じゃない、かも…。


でも、それぞれの時代・人生を生きていくしかないのだし、
また、なるだけ子を思い、向き合うようにするしかない。
そう、思いを新たにしました。


子に向き合うことの大切さを、グスタフ・フォスさんの「日本の父へ」で教わり、
子に向きあう物語を庄野潤三さんの作品で読んできました。
気にかけていたことが、ここで実を結べばいいな、と思う。
いい知恵だったんだ、と誰かに感謝する。


この作品、なかなかレンタル屋さんや図書館で見かけません。
でも、聴覚障害者向け施設のライブラリーにありましたよ。
もし、機会があればご覧ください。


平成14年度の字幕ビデオライブラリー共同事業として製作され、
聴力障害者情報文化センター配給のラインナップに、入りました。

2003.7.13 記




イルマーレ


見終えた第一印象は、
なんて素敵なコンポジション!


有りそうで無さそうな海辺の家は、時に幻想のよう。
時を隔てて手紙が行き交うシュールな郵便受け。
離れてしまった恋人との距離が埋められない、キム・ウンジュ。
父とのすれ違いを抱えながらも、孤独で自由な暮らしを営むハン・ソンヒョン。


画面も音楽もスタイリッシュです。
手紙を読む言葉の響きが、その思いを伝える。


そうして、キム・ウンジュを演じるチョン・ジヒョンと、
ハン・ソンヒョンを演じたイ・ジョンジェとの表情がいい。
二人の魅力が、この映画のユニークな部分を、自然につなげている。


手紙をやり取りしているうちに、
それぞれの時が流れ、離れていながらも、会う二人の心が、次第に切なさを生む。
そうして、ドラマは終局へと、向かいます。


ファンタスティックな恋の世界をどうぞ、堪能してください。


この映画に出会ったから、
「ラスト・プレゼント」にも、
「猟奇的な彼女」にも出会えました♪


2003.3.22 記




ビューティフル・ガールズ


原題 Beautiful Girls
1995年 米


ビデオのパッケージは、ナタリー・ポートマン。
彼女に会いたくて手にしたのですが、
見て驚きました!


これは、青年というには歳を取りすぎているが、大人になりきれていない男たちが、
久しぶりに集った冬の日々に、
様々な女たちとの付き合いを通して、
それぞれに新たな人生の一歩を歩み出す機微を描いた秀作です。


ナタリー・ポートマンは、ビューティフル・ガールズの一人で、
脇役の一人に過ぎませんし、一番歳下。
でも、他の女性たちに全然負けていない魅力を見せてくれます。


キャスティングがいい。男たちもいいけど、女たちがそれ以上にいい!(笑)
総じて、ダメな男たちをキリッとした女たちがバシッと引っぱたいてます。


男の身勝手さ、子どもっぽさ、いい加減さが、嫌になるほどに描写されている…。
女の中でしょうもないのは一人だけ。
この辺り、女性の方でご覧になった方はどのような感想を持たれるのでしょう?
女性に甘い?それとも、世の大方を表わしている?


見ていて、自分がこれまで出会った女性たちを思い出しました。
ダメ男で耳も遠い自分に、きちんと向き合って接してくれた女性たちには、
本当に、いろんな意味で育てていただいたな、と感謝します。
自分勝手ではなく、相手を思い本気になって付き合わなきゃ、本物の人生は始まりません。
あの頃気付かなかったけれど、後になっていろいろ汲める想い出がある。
そんな思い出をもっといっぱい作っておけば良かった…。
ちょっと、引っ込み思案過ぎました。


それから、チョウ個人的ですが、
ニール・ダイヤモンドの「スウィート・キャロライナ」が、
この映画の中で流れて、涙が出るほどに切ない思いに落ち込みました。
高校時代によく聞いた思い出の曲。
あの頃意味も分からずに何度もラジオ局にリクエストし、
聞きながら、下手なハミングをしていました。(笑)

2003.1.22 記
頁のトップへ





遠い空の向こうに

原題 OCTOBER SKY


なぜ、「スタンドバイミー」ばかりが語り継がれるのだろうか?
見終えて、そう思ったほど
「スタンドバイミー」を連想し、
それでいて、勝るとも劣らない秀作だと直感した。


ハイスクールに通う男の子が4人いて、その一人が主人公。
スプートニクが宇宙を飛行した1957年の物語。
場所は、アメリカの片田舎にある炭鉱の町。
スプートニクに、
アメリカのロケット科学者フォン・ブラウン博士に、
憧れて、主人公はロケットにとりつかれます。
自分も飛ばしてみたくて、仲間たちと一緒に取り組みます。


でも、ロケットを飛ばす事は容易な事ではありません。
勉強もしなければならないし、資金も調達しなければならない。
何度も失敗しなければならない。
その失敗とて、更なる試練を引き起こす。


そして、単なるチャレンジ物語にとどまりません。
ここには、斜陽産業に勤しむ労働者の悲哀もあれば、
つましい家族の愛もあるし、
未熟で手さぐりの恋も、
地道な、それでいて愛情あふれる教師の眼差しも、描かれているのです。
とてもイギリス的な、尚且つしっかりとアメリカンな作品です。(笑)


「パロマの巨人望遠鏡」を読んで、天文学を志した少年たちがいたように、
この作品を見て、科学者を志した少年も数多いるはず。
そう確信できるほどに、見る人の志を高めてくれる作品です。
社会を描き、時代を描き、人間を描いて、懐が深く、明るい出来栄えは、類を見ません。


大人の人たちには、若い人の夢を後押しする作品として、
若い人たちには、自身の夢を見出し育てる作品として、
見ていただけたら何よりです。
もう一言、大人も夢を諦めないでいきましょう。(^^ゞ


追記


ネット上で、
この作品が、『プライベート・ライアン』『シビル・アクション』を退けて、
全米ヒューマニズム賞を受賞している事を知りました。
『プライベート・ライアン』『シビル・アクション』共にビデオで見ていますが、
それら以上の作品というより、それらに並び得る秀作であることに異議なし。
(三作とも好きな作品で、比べるなんて…)
2003.1.1 記
頁のトップへ

このページの最上に戻る