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   業界で、「着物離れ」という言葉が危ぶまれ始めてより、早四半世紀が既に
 過ぎなんとしております、昨今ではあります。
 掛け値なしに美しい・・と思う。でも、着ない。
 日本の誇れる、素晴らしい文化の一つである事は、疑う余地もない・・・しかし、
 面倒くさい。
 着物に対する現代人の感覚は、単純なこれらの言葉で簡潔に言い表されます。
 時代にそぐわぬ、古臭く面倒で機能的でない生活着が、時と共に日々人々の
 暮らしから、遠ざかってゆくことは、当然と言えば当然すぎる自明の事実です。

  私が、この仕事に携わり始めてから、三十年近くの歳月が流れましたが、
 業界や個人の、歯止めへの努力研鑽も虚しく、大きな車輪が坂道をゆっくりと
 転がり落ちてゆくように、「着物離れ」の重い流れは、弛むことを知らず目の前を
 流れ続けてゆきます。我々は、なすすべもなく只、手を拱いて岸から、それらを眺めて
 いるのみでしょうか。

  私共が、着物・・・特に、友禅染を続けております訳は、個人的にこの仕事が好きだ
 ということに尽きます。
 大げさな事では無しに、単純に染めが好きなのです。
 そこから始めて、着物の美しさ、又着心地の本当の良さとその喜び、只デザインを
 着衣している或いは、暖をとるため・・だけでは無く、民族の歴史を着ているのだという
 満足感、そして豊かなる文化というものから教えられる、様々な感覚と感受性、人と
 して又一民族としての誇りと教養・・・。それらのものを、知らず知らずの内に、
 面倒な重い着物を着こなす間に気づかされてゆく、その感動の大きさを、いつの日か
 多くの又、総べての日本人・・・のみならず更に世界の数多の国々の人々に、共に
 分かち合ってもらえることが出来たなら、私共の思いは満たされてゆくことでしょう。
 「着物離れ」という、この言葉からの脱却。そのためには、少しでも多くの方々に着物の
 本当の良さを知って頂くこと、それしかありません。

   この、「今」にしか無い、今のデザイン。現代に息づく現代の意匠。
 それに手を通して下さる、現代の女性のその美しさ。
 私共の目標は、その一点にのみ集中致しております。

  日本文化の中に咲く大輪の花・・・・・着物。
 この大切な我々日本人の財産を、永く守り育んでゆくことができたらと、
 念願致しております。
 
  ご興味がおありでしたら、是非「お越し下さい」。
 お待ち申しております。                  2003年 1月19日

                 後藤友禅染色工房
                 〒352-0011 埼玉県新座市野火止2-10-15
  *
Essay集*          048-482-0988 
                 
Email  g827@msi.biglobe.ne.jp
     

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