2000/7/18



規制緩和と子供会


台風の過ぎ去った翌日に球技大会小学校地区予選がありました。正に台風一過と呼ぶに相応しい天気でした。カンカン照りの太陽はグランドを見る見るうちに回復させていきました。ここまでは予想以上の好結果だったのですがこの後にとんでもない事が待ち受けていたのでした。


私たちの地区の子供達のほとんどは何とキャッチボールすら満足に出来ない事が分かったのです!!^^;;
過疎地域のため近所に遊び相手の子供達がいないので1人遊びばかりしているのが主な理由です。これでソフトボールの試合をしようとするのですから無謀としか言いようがありません。その上練習も一度しか出来なかったのです(練習予定日に雨が降ったため)...ほとんどの子供たちがこのような状態なのですから守備やバッティングが出来る訳がありません。ましてやルールすらほとんど何も知らないのですから試合になるはずがないのです。


一方の対戦する団地チームは子供の数も多く、尚かつ練習するための運動公園までも完備しています。その上ここでは熱心なお父さん達が多くいて子供達のコーチをしていると言う噂がありました。確かに噂通りでした。二試合ともに大差で負けたのは当然の結果と言えます。


結果として我がチームの子供達は灼熱の太陽のもとで45分の試合時間のほとんどを連続して守備に着かされる事になってしまったのでした。案の定日射病にもかかりました。何しろ雲一つない快晴なのですから何もせずにただ立っているだけでも疲労するのは当然なのです。


このような状況は当然予想されるのですが役員サイドからは何も対策もありませんでした。本来ならば適切な対応をすべきだったのは当然だと思うのですが...(例えば攻撃は15分までとか、もしくはコールドゲームを設定するなど)何しろ小学3年生までもかり出しているのですからそのくらいの配慮が必要なのは当然なのです。大人の体力をもって物事を甘く判断しては間違いの元になると思いました。


普通の会社では社員に対する危機管理のための対策を十分考慮して対応しています。ところが子供会の役員をしている人達にはこのような(万が一の)事を想定する感覚が全く希薄だったのです。これはある意味で衝撃的な事件でした。


この想像力の欠如は最近立て続けに起こっている各種の不祥事にも通じるところがあるように思います。東海村の事故は住民を恐怖に陥れましたがその原因は普通では考えられいほど御粗末でした。雪印の場合も同様です。食品の場合は特にはっきりと分かりやすいのですから組織的犯行のように判断される可能性もあると何故気がつかないのか不思議な気がします。


一方、消費者としても食品の安全衛生確保に関するような(危機管理に対する)費用とは絶対に削ることの出来ないコストだと十分に認識すべきだと思っています。価格に反映されるのを拒む考えは間違っているとの認識を持つ必要があるのではないでしょうか。人間は誰でも霞を食べながら他人のためにボランティアをするわけなどないからです。


この意見は最近の価格破壊や規制緩和などのトレンドに逆らう様に受け取られるかも知れませんがそうではありません。どのような時代でも欠くことの出来ない必要なコストは存在するからです。ところが規制緩和や価格破壊が進み過ぎるとこのような絶対に必要なチェック機能までも失われる可能性が高まるのではないかと不安になってきます。


もしも将来にこのような事態を招くとすれば、私たちは商品の低価格化で徳をした以上の損失に襲われる可能性が高くなるのではないでしょうか??結果として社会資本までも整備が不十分な環境が私たちの社会を覆うような気がしてくるのです。