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名将の条件とは一体どのようなものなのでしょうか?
戦いにおいて、少数の人員をもって大軍を撃破することでしょうか。それとも100万の大軍を手足のように動かすことなのでしょうか。
百戦百勝の大将こそが名将と言われるのでしょう。しかし101度目の戦いには敗れて滅亡するかも知れません。それとも臨機応変さを十二分に発揮して戦いの負けを最小限に押さえることができる大将の事なのでしょうか??
確かに歴史に名を残した名将は必ずと言っていいほど一度は「奇跡」的勝利を体験しています。日本史においては義経の「鵯越」や信長の「桶狭間の戦い」が有名です。
しかしそれだけではないと思います。
カエサルの勝利に奇跡はありませんでした。(ガリアで5倍と言われる軍勢をうち破っていますが)カエサルほど有名な将軍が奇跡を起こしていないのは意外な感じがします。彼の戦いは常に順当勝ちばかりでした。「王道としての勝利」こそが名将の最たるものなのではないでしょうか。
そのカエサルの最後は信長の本能寺を連想させるものがあります。信頼していた者に最後に裏切られたというところが最も似ているように思います。細心の注意力を誇る英知に溢れた人物にしても、相手の発作的殺意までは見抜くことができなかったという点がそっくりだと思います。
項羽と劉邦の戦いでは負けに負け続けた劉邦が最後には勝利者になってしまうのですから、何故か不思議な感じがします。同様の印象は将門の最後からも受けることが出来ます。全戦全勝(のようなもの)をしていたにもかかわらず、頂点を極めた途端に相手の大軍にあっけなく滅ぼされてしまったという点はまるで双子のような歴史だと思います。
これは局地戦に勝利した後に効果的な戦後処理を行わなかったために、その地方並びに浮動組織が自分の与力に組み込む事を成し得なかった事が原因ではないでしょうか。
曹操やナポレオンは兵たちの意識を鼓舞する能力に優れていたとの逸話があります。ただし、臨機応変の度合いにおいては曹操や信長の方がナポレオンを上回っていた様な印象があります。兵を退却させる事は進軍させる事の何倍も困難だと言われています。乃木将軍については評価が低くなるのは当然のことだと思います。
時代が違うとはいえ赤壁の戦いの敗戦が滅亡につながらないどころか、逆に自らの勢力を拡大する事が出来たことは、曹操がいかに優れていたかということの証明になるのではないでしょうか。
日本で最大の能力を示した武将といえば信長ですがやはり同様の事がありました。